バルバワ

シン・仮面ライダーのバルバワのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.7
かくーれシネシタン かくーれシネシタン かくれー…シネシタン〜♪…うん、めっちゃ語呂が悪いですね!

いやぁ、軽い気持ちでね

あらすじは悪のショッカー軍団と正義の仮面ライダーとよくわからない政府の戦い!…的な感じです。

【放り込まれた先は】
冒頭からいきなりカーチェイスという物語が激しく動いているシーンから始まる今作。そして、作中織りなされる会話はなんだか説明過多なような、説明不足なような、棒読みなような、でもなんだか嫌いじゃないような感じです。そして、自主映画のようなざらついた画面と妙に人物の顔に寄るカメラワーク…これら全てが庵野秀明の映画を観ているということを強く実感させられました。

つまり、我々は冒頭からのカーチェイスで仮面ライダーの物語に放り込まれたのではなく、庵野秀明の物語に放り込まれたのではないでしょうか。

それはそれで良しッ!

【今回の仮面ライダー】
まず私の仮面ライダー歴は平成ライダーから始まり、クウガ→アギト→龍騎→555→剣→響鬼までは見ていました。特にクウガは好きで当時小学校のプールの中で一回転をしてマイティキックを練習して鼻をツーンとさせておりました。

そして今作の仮面ライダー、気になったのは本郷猛ですね。敵とは言え人間を惨殺(←結構ゴアで良き)したことへの良心の呵責により、大きな瞳を潤ませて、小刻みに震えて苦しむのですが、これが演じてらっしゃる池松壮亮さんの繊細な表情も相まって本当にチワワに観えるのです。
雄々しく飛び、鋭くライダーキックを繰り出しながらも、お目々ウルウル、お顔プルプルという…今回の仮面ライダーはバッタとチワワの遺伝子を組み込まれているのかなと思うくらいのキメラっぷりでした。

そして、中盤で登場人物する一文字隼人なのですが、やたら親指を上げてサムズアップするのです。鑑賞後、キャストのインタビュー動画を見た際にこのサムズアップの理由がわかりました。演じてらっしゃる柄本佑の好きなライダーは仮面ライダークウガだそうなので「あの親指はオマージュだったのか!」と勝手に納得していました。

【良いキャラで変なアクション】
敵味方問わず一癖も二癖もあるキャラクターが多く、最早庵野ユニバースのニック・フューリーみたいになっている竹野内豊さんや庵野秀明作品内のマルチバースな人格な浜辺美波さんとかルー大柴みたいな喋り方な長澤まさみさんとか「何だ君は」と思いながらも楽しく鑑賞していました。
特に西野七瀬さん演じる怪人ハチオーグがかなり好きで鑑賞後はついつい「あらら」と口にしてしまいます。

そして、そんなキャラクターに負けないのが今作の癖が強いアクション。跳躍とかカクカク動く質の良いとは言えないCGとかがある意味伝説の日本映画『GOEMON』を彷彿させる無重力感とバッタ感(仮面ライダーだから良いのか?)。
あと、これは明確な文句でカットも多い上にカメラワークもガタガタ動くのでせっかくの殺陣が観辛い…こりゃあ、横線一本入れても"幸せ"にはなりませんね。

【最後に】
あとは"非暴力での解決"を台詞や展開でも主張しているのですが事件の9割が暴力での解決だったり、ショッカーの計画がどのくらい進んでいるのかが分からなかったり、一部を除いて一般市民が出てこなかったりと結構掴みどころがない作品ではあるので構えて観るよりも力を抜いて「こんなもんか」と鑑賞することが良いと思います。
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