かなり昔に鑑賞。まるで晩年の黒澤明の劣化コピーみたいな映画である。俗に言う「良識的」日本映画のダメな要素がたっぷりと詰まっている。
現代の沖縄を舞台にした、戦争の傷痕を描いたヒューマン・ドラマ。たしかに画は美いが、肝心の内容は真面目くさってるだけで説得力皆無。全体的に批評家ウケを狙ったような空々しい演出なのが気になる。
個人的に黒木和雄とか東陽一とか、いわゆるお利口さん監督の作る反戦映画はどうも受け付けない。テーマの重厚さとか律儀さとか、この際どうでもいい。有名な映画祭で賞を獲ったから何だと言うんだ?
沖縄現地に根差す人間関係とか、子供達とか岩間とかそういった比喩表現には惹かれるが、はっきり言って完成度は『八月の狂詩曲』には遠く及ばず。無駄に風格漂う作りが却って鬱陶しいだけの代物だった。