南森まち

Blue Island 憂鬱之島の南森まちのレビュー・感想・評価

Blue Island 憂鬱之島(2022年製作の映画)
3.3
時代に翻弄される、さまざまな世代の香港人を描いた群像劇。クラウドファンディングで2,700人以上の支援を受けて製作された。

映画というよりはインタビュー集で時系列も含めてとりとめがなくややこしいが、文化大革命(1966~76)、天安門事件(1989)、雨傘運動(2014)という大きな事件を、当事者たちに語らせているのは見ごたえがあった。

A.文革時代に中国から泳いで逃走してきた人
B.英国植民地化の継続に抵抗する文芸誌を作製したことを現在では後悔する人
C.天安門事件で学生を支援するため大陸へ渡るが、無念のうちに帰って来た人

この三人がメイン。そして彼らの若い頃を劇中劇として演じるのは、雨傘運動で逮捕され判決を待つ若者たち。
演じた後、自らの現状と思いに重ねさせて語らせる言葉の数々。

そして熱い気持ちをもつ若者たちに、自分たちの体験を語る先輩たち。
いつの時代も左右の衝突の最前線になり、住民たちの意思と逆の決定を押し付けられ続ける香港の人々。
今後もこういうことが繰り返されるのか、それとも…。

エンドクレジットで「anonymous 無名」という人が多かったり、現在逮捕されている人の名前に監獄マークがつけられていたりするのがこの映画製作の状況を表している。
本当に現状は厳しい。