人は何があっても憎みあわずにいられるか。
子供の頃の残酷な父の教え。それがずっと胸にあったかなかったか、セグレは大人になって医者に。
何不自由なく暮らしていたところに、自身を試されるような出来事が。
ナチスの時代を生き抜いてきた父の姿、残酷な選択を自分に仕向けた父の姿がよぎる。命を救う医者という職につきながら命の選択をしてしまえば罪悪感に駈られる。一瞬の葛藤が後々の行動に響いてくる。
過去は自分なりに向き合って前を向いて生きてきたであろうセグレだけど、それを全くなかったことのようには出来ないのが人間だなぁ。
ネオナチとユダヤ人という、相反する人たちが協力しあって助け合っていけるのか。
過去の傷や人種や立場を越えて人間愛をもつことができるのか。
どの世界にもどの人間にも共通する普遍的なテーマ、これが世界に浸透すれば戦争は起こらないはずだけど、そうもいかない世界になっているのが現実で、いろいろ考えてしまうのだった。