ヒロ

理大囲城のヒロのレビュー・感想・評価

理大囲城(2020年製作の映画)
4.3
抑えでとりあえず撮っておこうという画が一切ない、その場所のその瞬間を切り取った画の羅列。ニュースで流れるゴム弾と催涙弾を乱射し傘を構えた学生たちにハイドロポンプをかます見慣れた映像もあるが、外様向けの粗編からはあぶれる当事者である学生たちの葛藤が色濃く記録されていた、60年代の日本・89年の天安門、敗北の歴史を後追うように“勝ち負けじゃねぇ やるかやらねぇか”の精神で始まった決死の特攻、香港警察の背後に構える中国当局への恐怖にこの国を変えるのは自分たちしかいないのだというなけなしの正義で抗う姿を記録して欲しいとの切なる願い、作中に出てくる学生たちにはモザイクがかけられその向こう側で怒り泣き叫び声を枯らす小さな革命家から「死は覚悟してます、ただ犬死には嫌です、この姿を発信してください」と託された希望は、監督匿名エンドロールなしの絶対的リアリティを以って世界に届けられた。これをポレポレで観たってのも相まってる。

2023-9
ヒロ

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