ゆうゆ

ポルトガルの女のゆうゆのレビュー・感想・評価

ポルトガルの女(2018年製作の映画)
3.8

ポルトガルから嫁ぎ 新婚旅行の途中で
生き生きと戦地に出向いた夫を
北イタリアの寂れた古城で𝟷𝟶年近く
静かに待ち続ける妻。
毎日をただただ穏やかに過ごす日々。
傍から見ると それは苦行でしかない
時間なのだけど 彼女の心には常に愛する
夫が存在しているからなのか 自然と優雅に
生活する日々を存分に満喫しているように
も伺える、凛とした佇まいが印象的。
時折戻る夫との他愛もない戯れが
微笑ましく入浴シーンの描写はずっと
美しくもほっこり

生い茂る緑と対照的な赤毛のヒロイン、
静かな情景に絶妙に配置された女中と
自由に佇む愛らしい動物たち。
話は驚くほど進まず、まるで動く絵画の
ような、そのすべてが計算され尽くして
いるかのように 神々しい光と空気に満ち
溢れた空間。
生活音だけで成り立つ神秘的な描写の
連続とヒロイン女性の透き通った肌の
白さは溜息ものの美しさ。
高級なビロードを纏った色鮮やかなドレス
にもうっとりだったけど、それ以上に
一糸纏わぬ姿で水と戯れる姿はまるで
「オフィーリア」を彷彿とさせた

男子たちの衣装や台詞はまるで
子供のお遊戯会みたい笑。
あまりに静かすぎて 聞こえてくるのは
暖炉の火の音と私の隣に座っていた
おじいちゃんのイビキくらい。
△余談ですが このおじいちゃん、
何しに来てんだか分からないくらい
最初から最後まで殆ど寝てた

時の経過さえも把握しにくく 生まれた
子供の成長さえよく分からなかったけど、
飼っていた狼はいつの間にか大きくなって
いた気がする。
たまに出てきて歌いだすストーリーテラー
的なユペールさん風のおばあちゃんが
ちょっと現代風に作品を彩っていて
舞台みたいな面白い演出、序盤と
エンディングの歌がかなり好みで 濃厚な
アート鑑賞ができた気分に浸れて
スクリーンで観れて本当に良かった
ゆうゆ

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