ぽち

月光の囁きのぽちのレビュー・感想・評価

月光の囁き(1999年製作の映画)
1.1
原作の喜国雅彦は4コマ漫画のセンスが良くほとんどの単行本を買っていたのだが、当時いきなり大真面目にSMを題材とした長編漫画を発表したのには驚き、おまけに高校生が主人公と言う大胆さにも驚いた。

エロメインではなく、真面目にSMを描いた奥の深い作品なのだが、この映画化はどこをどうしたらここまで悲惨な内容になるのか聞きたくなるほどの出来。

6巻分の内容を100分に押し込めるのでエピソードを削るのは分かる。
でもキャラの掘り下げゼロだし、SMに走る心情や信頼関係がまったく描けていない。紗月などただのわがまま女。

そして決定的なのがラスト。原作では2人のSM的な関係が完成して、その描写であるホテルでの教師を巻き込んだエピソードがあるが、そんな大事なシーンを全カット。と言うかそこまで映画化していない。
全てはこの2人の関係の完成に向けて収縮していかないと成立しない物語なのに、そのラストがわがまま女の「海でも見に行くか」では意味がない。

結局ちょっとフェチなストーカー男子とわがまま女の「ほんわか青春ロマンス」で終わっていて、原作にあった真剣さや深さ、鋭い棘やロック魂など全てなくなっている。

せめてエロシーンが充実していれば救われるが、後にAV出演もしているヒロイン役のつぐみが乳の一つも出さないってのは「なめとんのか!」と言われてもしょうがないだろう。

1対1000で原作の勝ち、って言う作品。
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