ほーく

月光の囁きのほーくのレビュー・感想・評価

月光の囁き(1999年製作の映画)
1.0
ちゃんと原作を読みなさい。

 週刊ヤングサンデーに連載されていた、喜国雅彦の漫画「月光の囁き」の映画化。人間の持つ変態性を魅力的に描くことに定評のあるこの喜国作品のなかでも、彼得意のギャグをまったく排除し、フェティッシュという概念を丹念に描写したこの名作を、駄作に貶めた罪人は、監督・脚本を手掛けた塩田明彦。
 原作の強みは、眉目秀麗、頭脳明晰な剣道部男子中学生が、屈折した愛情を幼なじみの同級生に抱き、しかもそれに気づいた幼なじみもそれをまた屈折したかたちで返すところにあるのだが、何を思ったか、その男子生徒にキャスティングされた少年俳優は、いかにも内向的で地味で、下手すると「いじめられっこ」であったような雰囲気を体中からにじみだしているのだ。これでは、単なる変態さんではないか。見た目とのギャップ、そしてそれをおくびにも出さないところがいいのではないか。そんなものは原作をちょっと読んだだけでも分かりそうなもんだが。ということで、1時間以上、単に不愉快な映像を見続けなければならない羽目になったのである。
 原作は、とにかく白眉である。喜国作品自体は、好き嫌い分かれるとは思うが。
ほーく

ほーく