MK

グレート・インディアン・キッチンのMKのレビュー・感想・評価

4.2
渋谷インド映画祭にて念願の鑑賞。
観終わった後の感覚の昂りは同じくインド映画の『パッドマン-5億人の女性を救った男』とは真逆だった。

月経が穢れとされ、数日間も家族から疎外される社会にあって、その期間中、家の外で不衛生な布を腰に巻いて過ごす最愛の妻の姿に心を傷め、安価な生理用品の開発に奔走する夫を題材にしたパッドマンとは真逆の…女性を家長制度や男性権威主義的な考え方で社会の日陰に追いやるような今回の作品、義父や夫の妻に対する態度は同性として全く共感が持てなかった。

数学がすごくてITが盛んでカレーが美味しいインドでは21世紀でも生理用品がファースト・フードのドリンクの何倍も高かったり、スマホ片手に数日間も納戸のしかもゴザの上で過ごさなければならなかったりするだなんて。

社会構造が生み出す女性への抑圧、偏見、差別なんてない社会が当たり前の世の中にはやくなるといいのに。

でも本作のラストが結局、伝統的文化に回帰していくというのはなんとも印象的。
これは結局社会構造の一部に飲み込まれてしまうという皮肉なのか、伝統文化すら凌駕していくという希望なのか。

後者であって欲しいと願うばかり。

フェミニズムに懐疑的なスタンスの構造主義からのポストモダニズムにおけるジェンダーを扱った書籍を読んでる最中ということもありなんとも…このあたりの議論も権威や科学による知識により構築されたナラティブみたいなことになるのかなぁ。

ものの考え方ってとっても難解。

神よ許したまえ…神は女性はもちろん何者でも救うと思うけど、その辺りはまたまたインド映画の『pk』が思い出される。
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