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レッド・ロケットのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
3.5
フライヤーの淡く眩しい色調に惹かれて足を運んだのですが、見渡すかぎり真っ当にクリーンな人がほぼ出てこないグチャドロの下世話な話でした。工業地帯の砂埃まで運んで来そうにざらついた質感の映像と、暴力的なほどに無機質でブツ切りのカット割がひどく印象的。そのグチャドロの傷を舐め合うような卑屈さも中途半端に寄り添ってみせる生ぬるさも感じさせない、見たまま撮ったままのあけすけさに空虚な高揚感らしきものすら覚えました。

どうしようもなく惨めな現状と対をなすように白昼夢よろしく幻想的なパステルカラーで映し出されるのは小綺麗なアパートでありドーナツ店でありその売り子の17歳なんだけど、この子の甘々にして堂々たる存在感のデカさったらなかったですよね。ワルい大人に騙される無垢な存在なんかじゃなく、明確な意志を持って対等どころか時にリードするくらいの力関係に持ち込んでくしたたかさがめちゃ今っぽくて各方面に目配り行き届いてんな〜と感心しました。大統領選挙にまつわるあれこれも、当時そこに居た人ならばものすごいあるある感を喚起してくれそう。

とにもかくにもスザンナ・サン、今後めちゃくちゃ人気出そう。全編通してただそこにいる呑気な飼い犬ソフィーが癒しでした。
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