kuu

レッド・ロケットのkuuのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
3.6
『レッド・ロケット』
原題 Red Rocket
映倫区分 R18+
製作年 2021年。上映時間 130分。
米インディペンデント界の俊英ショーン・ベイカー監督が、口先だけの元ポルノスターの男を主人公に、社会の片隅で生きる人々を鮮やかに描いたヒューマンドラマ。
実際に過去にポルノ出演経験があり、その映像が流出したことで一時表舞台から姿を消していたこともあるサイモン・レックスがマイキー役を演じ、インディペンデント・スピリット・アワードやロサンゼルス批評家協会賞などで主演男優賞を受賞。
共演は、主に舞台で活躍してきたブルー・エルロッドと、ベイカー監督が映画館でスカウトした新人スザンナ・サン。

俳優としては、映画『絶叫計画』シリーズへの出演でしか知られておらず(『プリティライフパリス・ヒルトンの学園天国』てのにもでてたが)、ポルノビジネスでキャリアをスタートさせたって印象のサイモン・レックスが、見事な人物描写を披露した。
実際、彼のキャリアとしては、モデルをやっていた時代があり、その後、MTVでVJ(ビデオジョッキー)をやり、先にも書きました作品で俳優をやり、2000年代前半にパパラッチに追い回されてタブロイド紙に話題を提供していた時代がある。
あるいは、それよりもっと前の時代に、まだ駆け出しの頃に、ゲイポルノ映画にいくつか出演していたという事実がネット流出した。
その影響によるか否かは明らかにされていないものの、表舞台から姿を消すこととなったサイモン・レックス。
ちょうどこのタイミングで、日本でNHKで第2シーズンのみ放送された『恋するマンハッタン(What I Like About You)』(米国では2002年~2006年まで第4シーズンまで放送)のメインキャストで登場するも、第1シーズン終了後に突如降板となってるサイモン・レックス。
二度目のブレイクするか否か。
A24の寵児であるショーン・ベイカー監督は、でそれを可能にしやすい道を彼にアシストした作品と云える。
ベイカー監督は、あまり注目されていない層に身を捧げ、またしてもリアリズムと細部へのこだわりをもって今作品を作り上げてます。
お話は、
元ポルノのヒットメーカー、マイキー・セイバーは失業中で無一文。
そこで彼は、テキサス・シティのゲットーに住む別居中の妻とその母親のもとに戻るしかない。 しかし、マイキーは魅力とセックスアピールで、なんとか元の場所に落ち着く。 
最初のうちは、彼ももっといい人間になりたいと思い、必死に働き手を探していた。 
結局、彼はドラッグファミリーの仕事を見つける。 
プライベートでも、マイキーの人生は、未成年の少女と出会い、すぐに元の職業に戻る方法を思案することで、すぐに手に負えなくなる。

冒頭で主演俳優について書いたところからすると、サイモン・レックスはここで自分自身を演じているように思える。 
それも事実かもしれないが、彼はカリスマ性を発揮し、この憎たらしいキャラを飽きさせることなく演じている。
彼は一種の贖罪の弧を描き始めるが、ベイカーはおそらくこのような人間が変われるとは思っていないことがすぐに明らかになる。
なぜなら、それこそが今作品でマイキーがやっていないことだから。
彼の行動や発言は卑劣で、周囲の人間に危害を加え、その上、彼は自分が最高のヒーローだと信じている。
軽蔑する資質。
それでも、NSYNC(イン・シンク)の "Bye Bye Bye "の伴奏に合わせてレックスが自転車に乗ったり、全裸で偽のペ◯スを持って走り回ったりする姿は、見ていて飽きなかった笑。
他のキャストも、(ベイカー監督の作品のキャスティングの仕方のひとつだが)その地域の実際の住民を中心に構成されており、特にスザンナ・ソンは、マイキーの純朴な恋の相手役として、女優としての将来の素晴らしい印象をのこしてた。
これだけ聞くと非常にクレイジーで、もしかしたら不快に思われるかもしれないが、小生の意見では、これは荒唐無稽で独創的な作品でした。
ショーン・ベイカー監督の映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』とは対照的に、ベイカーは様々なジャンルのミックスに頼っており、その中には『ブギーナイツ』や『アンカット・ジェムズ』のような映画を彷彿とさせるものもある。
今作品はストレスを与え、楽しませ、考えさせてくれた。
しかし、最後の10分まで、今作品はお気に入り映画になりそうな勢いやったが、少々残念なことに、ベイカー監督は最後に、面白みのない一面的な登場人物に長くこだわりすぎてたんは個人的にはマイナスかな。
エンディングはまた実に力強く、そのアンビバレントさで私の意表を突いた。
間違いなくサプライズかな!!
kuu

kuu