このレビューはネタバレを含みます
フラっとレイトショーで観たいような作品。一人の夜にピッタリ。
ジャケ写がとにかくいい。
寒い土地と旧い列車。
旅愁・旅情を感じた。そしてとても懐かしい。私がやはり雪国、寒い土地で育ったせいか。上京する際、寝台特急にも何回か乗ったのを想い出す。やっぱり夜中に車窓からカーテンを開けて外を見ると、雪がしんしんと降っていたものだ。
この無骨なだけのロシアの寝台列車は実在するのかな?まだ現役で走ってるんだろうか。
旧い列車の車体や乗客の雑多な感じがリアル。
列車の最後尾から映されたネオン。
暖色系の照明が美しい。
むかしの列車らしく、廊下は蛍光灯。
リョーハの涙の理由は?
二人は男女の関係というより兄妹とか幼なじみに見えた。昔からの知り合いのような、、。
二人とも相手の深いところを尋ねることはしない。
ロシアの寒く厳しそうな大地。一面の雪景色や鈍色の海。
旅の目的地、ペトログリフに辿り着いた。
『終わり?』
『終わり。』
多分、彼女のこころは目的地にも、元恋人にも、もうない。
一生のうち、一度あるかないかのような旅。
老婦人と、公務員だろうか?無愛想だけどラウラを見守るような女車掌が良かった。
ラスト
朝日にあたったジャケ写と同じ彼女の横顔。風が吹き抜ける。
確かに手応えがあった!
彼女がもっともっと歳をとってふと人生を振り返ったとき、若い時にしかできないような体当たりの旅を、懐かしく想い返すことだろう。
10/14.16.17 コンパートメントno.6