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エッフェル塔~創造者の愛~のfujisanのレビュー・感想・評価

3.7
19世紀にエッフェル塔を建てたギュスターヴ・エッフェルの想像力と愛の物語。

岡田斗司夫さんのゼミで、恋愛要素よりもあのエッフェル塔をとうやって建てたかっていう話がとても面白いと紹介されていたので、駆け込みで観に行ってきました。

地盤がゆるいセーヌ川のほとりに鉄塔を建てるために圧縮した空気を送って基礎を固める「圧気工法」や、砂の量を調整することで鉄塔をずらし、ボルト穴を合わせるシーンなど、確かに建築映画としても興味深かったですが、、結果的には恋愛ストーリーの方に魅了された感じです😅


”鉄の魔術師”の異名を取るエッフェルは、構造設計士としてアメリカの自由の女神の鉄の骨組みを造るなど天才な能力を持つ構造設計士ですが、一方で、劇中で”女性を観るように塔を見る” とも呼ばれるほど情熱的。

映画は、若い頃に知り合った良家のお嬢様アドリエンヌとの身分を超えた情熱的な恋愛ストーリーと、資金不足で追い込まれながらもなんとかエッフェル塔を建てるんだ!っていう情熱大陸的なプロジェクトストーリーが折り重なるように展開していきます。

・・と書くとまじめそうですが、えーと要するに、キスシーンがあって設計シーン、ごにょごにょしてコンクリート投入シーン、またゴニョゴニョシーンが有ってボルトを打ち込むぜ~、みたいな感じでストーリーが展開していきます😎

そもそも、映画冒頭に「史実を元に自由に制作しました」というテロップから始まる映画なので、どこまでが本当の話なのかは微妙ですが、さすがフランス映画ってこともあって情熱的な恋愛ストーリーとしても面白かったです。


エッフェルと恋に落ちる女性役はケネス・ブラナー版「ナイル殺人事件」で悪女を演じたエマ・マッキーが演じており、ナイル~の周到で計算高い女性役と今回の悲劇の女性役とは全く違う役柄に、演技の幅を感じました。

また、エッフェルの娘役を演じたアルマンド・ブーランジェの素朴でピュアな役柄も印象的でした。


以下は、鑑賞後のネタバレメモです。









個人的に一番興味があったのが、”どこまでが事実でどこからがフィクションなのか”というところ。

ただ、エッフェル自身についての情報はあまり残されていないらしく、所々残された事実の情報の間をつなぐ「空白部分」を独自の解釈で埋めているようです。

・アドリエンヌは実在の女性である
・28歳のエッフェルと18歳のアドリエンヌは恋に落ちた
・しかし、両親の反対により結婚はできなかった
・エッフェルの息子とアドリエンヌの姪は結婚している

と言うのは事実らしい。

と同時に、エッフェルは当時エッフェル塔の建設には反対していた😮というのもまた事実らしい(エッフェルが社長を務めるエッフェル社のエンジニア達は建設を希望していて、エッフェル自身は反対していた)

にも関わらずエッフェルはその後、私財を投じてエッフェル塔を完成させており、何が彼を心変わりさせたのか、という部分は空白になっている、と。

そこで、息子と姪が結婚しており二人が再会しているのは確実であるということから、エッフェルはアドリエンヌのために塔の建設を決意する、という物語に広げていったようです。完全にフィクションとも言えないわけで、うまいこと作りましたよね。。

参考:
・映画パンフレット
・【「エッフェル塔 創造者の愛」評論】小説よりも現実離れしたエッフェル搭建設の秘話が物語る、信じることの力 : 映画ニュース - 映画.com
https://eiga.com/news/20230312/10/?utm_source=pocket_saves


エッフェル塔が完成した1889年当時、日本はまだ明治維新から20年後でちょんまげの人も居た時代。東京タワー(333m)が建設できたのは1958年(昭和33年)であることを考えると、1800年代の19世紀に鉄骨のみで300mのタワーを建設したというのは凄いことです。

大スクリーンで観るエッフェル塔の映像も迫力がありましたが、配信で観ても面白いと思うので、配信が始まったらもう一度観てみようと思います😊




2023年 Mark!した映画:138本
うち、4以上を付けたのは17本 → プロフィールに書きました
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