幽斎

サプライズ 狂気の恋心の幽斎のレビュー・感想・評価

サプライズ 狂気の恋心(2017年製作の映画)
3.8
劇場映画では無く、TVムービー。北米9500万世帯が視聴するペーパービュー局「Lifetime」は独自に映画を製作する事で知られる。局の最大の特徴は視聴者を家庭に居る女性に絞って放送、出演する側は勿論製作も女性が中心。白人以外を主人公にキャスティングしないので、経営方針は屡々政治的な意味で批判される。

Lifetimeの多くを請け負うカナダReel One Entertainment製作。スペシャル・ムービーとして放送され、視聴率の良かったタイトルは、Amazonを中心に海外へも幅広くセールス。同局のTVムービーは100分が放送枠で、本作も90分と時間的にはサクッと観れる。テイストは私の親世代「火曜サスペンス」に近い(多分)。出演者の多くは予算の都合で、長編映画ではお見掛けしない面々ばかり。

本作に限らないが、主演女優が微妙に日本人ウケから外れてる。Jamie Lunerも、TV Movie専用女優で、いきなりイケメンの元軍人と意気投合して一夜を過ごす、と説得力が丸でない、普通なら。Reel One製作のドラマは捻りがなく、スリラー慣れしてる方は「ながら」で観ても全く問題ない。と言うか私の様なチャレンジャーで無ければ、パソコンを閉じて、ミステリー本でも読むだろう。

Lifetimeは日本のドラマ水準のレーティングなので、血の出る恐怖描写も無い、いい所までイクけどセックスも無い。家族全員で見ても人畜無害な作品しかない。その割にドラマの大半はスリラーの一段下、サスペンスで簡潔に言えば暇つぶしには成る。邦題のサプライズ、煽り文句の想像を絶する大どんでん返しと謳っているが、それはReel One基準での話。アマブラで観てる方が大半だろうが、アマブラ基準としては下でも無い。

主人公が恐ろしく自己中で更年期なのか観る方もイライラするが、それもReel Oneではお約束で、気にしてはイケない。指摘するのは訳が有り、冒頭の校長のシーンも切り抜ける方法は山ほど有るが、危機を回避する所か中途半端な解決案を提示。それを日本では火に油と言う。融通が利かない果てに最悪な事態を引き起こす。長編映画ならお蔵入りレベルだが、意外な事にアメリカの御婦人方は、あまり気に為らないらしい。うーん(笑)。

主人公テスの変わり身の早さ、と言えば聞こえは良いが年下のイケメンと一夜を共にした翌朝に前の旦那とヨリを戻す。頭の悪さは見て分るが、それをブログに書いて講演会をするのは厚かましいを飛び越えてる。傍から見れば自分の馬鹿さ加減を世に広めようとする意味不明。それで終わらず、勘違いオバさんを、イケメンがストーカーするに至り、此方の頭の方がケトルの様に沸きそうに成る。私は結構ストライクゾーンが広いつもりで、年上も大好きだが、そんなに魅力的か?、教えてエロい人←先輩がよく使う。

確かにサプライズと大どんでん返し(当社比)は、有るので消費者センターに電話は出来ないが、それ自業自得の結果じゃね?と思わなくも無い。主演女優がクソアマに転落するのに時間は掛からないが、私なんか犯人に同情すら憶える始末、寧ろ動機には共感しかない。しかもLifetimeのドラマは最後はハッピーエンドで終わるお約束が有る。ので、ビッチが地獄に堕ちる結末は初めから期待できない。うーん2度目(笑)。

スリラー目線の感想ですが、Reel Oneの作品はある意味こんなのばっかり。どの作品も微妙にC級サスペンスの一定水準はクリアしてる。映画と思って見るとハズレ間違いなしだが、サブスクで見るならナシ寄りのアリかも。アメリカの奥様はコレを有料で懲りずに毎週見てるので、これがスタンダードと言われれば、そうなのかも(納得してない(笑)。

Lifetimeの視聴率は好調、Reel One基準では傑作の部類。アメリカの火サス、お試しアレ。
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