小雨

リバー・ランズ・スルー・イットの小雨のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

そのむかし身内に、観れば、と言われたことを思いだした。
なんと言えばよいのか。ひとつの家族とその周囲のひとびとを含む人生の機微をえがいている、というのか、何よりもわかりあえるものがひとつだけあって、それによって後々ときに輝かしいような記憶をたどることができる、というか。
様々あるひとの生き死にの、そのひとつの美しい過去をすくい上げるようなお話。
なんとなくロバート・レッドフォードだなと思う。
あまり観ていないんだけど。

ブラッド・ピット演じるところの弟ポールは気ままでうつくしく、あやうい気配をまとっている。これはそういう演出だけれど、だからこそ惹かれない訳がなく、だのに幸福できらきらした一日のあとに当たり前みたいにかれが消えてしまうことに、想像はしていても衝撃を受けずにおれない。胸がいたい。ひとは簡単にいなくなる。
牧師である父の最後の説教はやはりこころに迫るものがある。
そうやって愛情をさしだすのができることの全てなんだろうか。それは優しくて悲しいことだ。シルヴァスタインの『おおきな木』みたいに。
うつくしい映画だけれど遠い。すごく遠い、いいお話。
小雨

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