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アリスとテレスのまぼろし工場のMojaMojaのレビュー・感想・評価

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設定が活かしきれていないと感じました。

非常に面白い設定でSF的な考察をすることも出来ますし、論理思考実験的にその状況下で人間が果たしてどうなるのかというを考察することも出来る設定だと思います。
本作はSFやファンタジー的な考察にはあえて重きを置かず、そこで生きる人々の内面の人物描写に注力しているようでした。

しかし、それにも関わらず本作品の登場人物たちは設定の表面上の要素のなかでしか動いていないのではないかと思わずにいられないほど、あの舞台で生きてきたという実感が伝わってきませんでした。
恋を描きたいと言う気持ちは要所では痛いほど伝わってくるんですが、であるならば舞台設定はもっと簡素なものにして恋のぶつかりあいに注力して欲しかったです。

自分の中の結論としては舞台設定が邪魔でした。
あの設定のせいで観てる間中ずっとどこに自分は感情を置けばいいのか分からなかったです。
また、この環境なら自分だったらこうなってるだろうなと思える人物がいなかったのもしんどかったです。
アリストテレスの名を背負う以上、もっと突き詰めた思考実験の成果を画面上で見せて欲しかったです。

そして、このテーマを描くならもっと若い世代に画面設計をさせるべきだったと思います。
さよ朝は作品内容と画面とが一致していたと思っていますが、本作はずっと内容と画面が乖離しているような印象も覚えてしまいました。
青臭く若々しくエネルギーに満ちた話をしてるのに構図が老練な印象を受けて、全部チグハグだなと思いました。
これはこれである種作品テーマ通りなのかもしれないですが。。。

以上、長々と書いてきましたが、いろんな人が見てどう感じるのかは気になる作品ではあるので友人やパートナーと一緒に劇場に足を運ぶにはいい映画だと思います。
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