よしまる

〈主婦〉の学校のよしまるのレビュー・感想・評価

〈主婦〉の学校(2020年製作の映画)
3.8
 男女平等の世界ランキング12年連続1位のアイスランド。ちなみに日本は今年120位。笑止千万。

 そのアイスランドがまだデンマーク統治下にあった第2次大戦中にできた「主婦の学校」。そのドキュメンタリー映画を観てきた。

 これが長編デビューとなる女性監督のステファニアトルスも、女性が社会進出している現代に最初はわざわざ家庭科を教えるなんて時代錯誤と思ったらしいけれど、「主婦」の仕事こそがいま求められているサステナブルに合致したもの、環境に配慮した知恵が織り込まれていることに、製作を始めてから改めて気付かされたそうだ。

 70年代からは「家政学校」と改名をしているにもかかわらず、映画のタイトルををあえて設立当初の「主婦の学校」としたのもそんな思いの表れということですごく腑に落ちた。事実、登場する新入生たちも口を揃えたように「良い奥さんになるために入学するのではない」と言う。
 これから社会に出て人として成長し、豊かな暮らしをするうえで必要なことを学びたい、まさに学びの精神を若い人たちが持っているのはとても嬉しいことだ。

 今でこそ1位だけれど、たぶん当時のヨーロッパは日本以上に女性の地位は低かったと思われる。実際、男女共学になったのは1997年と、設立後50年以上経ってからの話で、はるか昔から男女平等で、家政を学ぶ場があったなんてさすがだなあという観る前の想像とは全然違っていて、近年になって世界に先駆けてジェンダーレスを実践して成功しているということなのだと感じた。
 
 つまるところ、自分の国に古来からある「もったいない」を一番ないがしろにしてきたのが日本であり、それが裏返って女性の社会進出を阻んでいることもまた事実。
 そんなことをよその国の様子を垣間見ることで考えさせられた。

 パンフも買ったけれど、公式サイトに殆どのことが載っているので興味のある方は本編観なくてもぜひ覗いてみては?

 映画としては昔の映像から当時のアイスランドの様子なんかも観れるともっと良かったのにとか、授業がゆるゆる過ぎて大丈夫?とか思ったりもしたけれど、そうした学びに触れることで人生いくらでも元気になれるよな!と思わせてくれたので満足。

 余談。

 子羊の頭かち割って、目ん玉はよけて脳みそは残してくださいねー耳は捨ててねーってのは見る人によっては苦痛かも😱