ゆうみ

流浪の月のゆうみのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.0
原作既読。

世間から見ると女児誘拐事件の加害者と被害者。当事者にとっては加害者ではなく、地獄のような日々から救ってくれたたった1人の人なのに、、

相手にとっては優しさのつもりでも受け手からすると迷惑なことって割とある。
被害者は可哀想な存在なんだ、普通はこうすべきといった固定観念の押し付けがしんどい。
しかも相手に悪気はないし。
周りから全く理解されない更紗と文の苦しみが何より辛くて泣いた。

原作を映像で補完するような作品で、
心理描写や細かい背景は小説で知っていたので、その部分が削ぎ落とされていても映像だけでスッと自分の中に入ってきて没入出来た。
ただ、読んでいない人にとっては想像を膨らませるのが難しいところも多々あったと思う。

ちなみに、文が開いたカフェの店名「calico」には更紗という意味がある。
文にとって、たった一つ残った希望の名前。
何故2人は広い日本で再開出来たか、文が大人を愛そうとしても出来なかった心の葛藤、更紗の家族のこと、文の恋人の谷さんのこと、梨花ちゃんと更紗の繋がり、阿方さんと主人公2人の関係性、更紗と文の心情などなど、そういった原作にしかない情報を知った上で見ると、映画の受け取り方も大分変わってくると思う。

原作読んでたからこそ、この点数。
未読の人には是非読んで欲しい。
ゆうみ

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