ぼのご

ミラベルと魔法だらけの家のぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

日常に魔法が自然と溶け込んでいる雰囲気が面白かった。コロンビアが舞台なこともあってマジックリアリズムを連想させる。
ラテン系の陽気な音楽にも楽しさが溢れてた。リン=マニュエル・ミランダさんの楽曲は『イン・ザ・ハイツ』でも良いなって思ったから、今後も注目したい。

出てくる植物や動物の多様性にも目を引く。人と自然とが共存しているとなんだか豊かな感じするな。
人種も多様。でも南米の人種が多様なのって植民地とか奴隷貿易とか、ヨーロッパ諸国による過去の非道が背景にあったりするだろうから、繊細な問題だと思う。ミラベルのおばあちゃんが故郷を追われたのも内戦が原因っぽいし、コロンビアや南米諸国の人たちも複雑な問題を抱えていて大変だ。そうした中で独自の芸術が創造されてきた側面もあるんだろうけど。

故郷から逃れたおばあちゃんが魔法のギフトを授かり、代々それぞれ違った魔法を与えられるようになったマドリガル家。ミラベルだけ何故か魔法を与えられていなくて、それによる疎外感が哀しい。あからさまではないんだけど、家族写真でミラベルがいないのに誰も気付いていない辺りとか根深過ぎて苦しかった。こんなのミラベルみたいに強い人じゃなかったら潰されてるよ……。

未来が見えるブルーノおじさんも不吉だからって嫌われていた。気が弱かったり力の無い変わり者が疎外されるのって、どのコミュニティでも一緒なんだな。ブルーノおじさんの感性のズレ方が自分にはけっこう親近感あって、マドリガル家の雰囲気は居心地悪かったけどブルーノが出ている場面は安心感あった笑

最後は魔法が消えて、今までの体制が無くなって皆平等になる流れかと思ったら、結局魔法が復活してびっくり。なんでこうしたんだろう。でも一見これまでと同じように見えても、そこにいる人の心持ち次第で全然別物になることはたしかにあるかも。この物語でも最終的には今まで通りにはなるけど、それぞれが抱えていた問題は解決しているし、本人たちはスッキリしたと思う。ハッピーな雰囲気が良かった。
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