三四郎

巴里祭 4K デジタル・リマスター版の三四郎のレビュー・感想・評価

3.0
『巴里祭』は1933年キネマ旬報外国映画ベスト・テン第2位で『制服の処女』に敗れたわけであるが、名作の誉れ高い作品だ。よって期待していた…。しかし、どうもどこが良いのかわからぬ。実に簡単な容易な、重みも深さも感じられぬただの若い男女の子供っぽい恋愛映画だ。『制服の処女』とは格段の差がある。
私がフランス映画の粋さ、良さがわからないからかしら…。
「若い娘に無礼なことをする奴はダメだ」フランスらしいね。
雷雨でキッス、仲直り。
人々は街や玄関前でキッスする若い男女を「図々しい」「みっともない」「こんな人目に触れるところでするなんて」というふうに見ている。「子供は見るな」とジッと見ていた少年は父親に叩かれる笑 倫理道徳在りし日の欧州、Frankreich。
「人前では抱擁したり熱いキッスをするものじゃない」この文化はいつからなくなったのかしら。
この映画、若い男女のある意味可愛らしいメロドラマなのでキスシーンがやたらと多く、そして意味があるのだが、戦前日本で公開された時はこの箇所はもちろん検閲でカットされているよな。するとどうなっていたのだろうか。味も素っ気もない映画になっていたのでは…?なぜ大ヒットしたのやら。不思議だ。

冒頭から子供たちと遊んでやる明るく優しい娘 。
しかーし彼の部屋に行くと知らない女の下着や洋服が…ショックを受けて道に出るといつものように子供たちが走ってくる。ある男の子が走って来たところを彼女は無意識に首根っこを掴んで道に叩きつける。思わず笑ってしまった笑 ある意味残酷だが見事な喜劇になっていた。男の子も、「叩きつけられた!」といった感じであった。「まあヒドイわね」とその状況を見ていたおばさん二人の会話も面白い。誤解した失恋の悲しみで自分も涙に暮れているが、男の子に「泣かないのよ、ほら笑って」と言う娘。
〜夜の夢が咲くとき 恋の夢が破れる〜
結局は酔っ払い爺さんが皆に幸運をもたらした。
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