ほんとうは映画館で観る予定だった。
でも観られず、たいくつで最低な一日としておぼえている。そんなことも忘れられるだろう。
ギャンブルなんていう派手なものを題材にしている割にそういった抑揚はなくて、重たい陰影ばかりが落ちている。主人公が『自省録』を読んでいるあたりなんて非常にらしい。
それなのに、終わり方がおもいのほか爽やか。
カタストロフィをつきぬけた先に、なんとなく『ファイト・クラブ』に似たよくわからない感動をおぼえてしまう。あのPixiesみたいな、すべてを持っていく音楽のよさで。
終わりよければすべてよし、というような。
オスカー・アイザックの陰鬱な表情がたいへん好ましく、横顔が端正でうつくしい。
だからこそ、あまりいいお話になってしまう要素は…と思うけど、そうでなければこの展開はないのだし、仕方がない。
全体的に音楽の趣味がよくって耳に心地よい112分だった。