タロウ

LAMB/ラムのタロウのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.4
『LAMB/ラム』




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自然が豊かなアイスランドの高地に暮らすイングヴァルとマリア。犬、ネコ、そして何匹もの羊たちと静かな日常を送る2人のもとに訪れた転機___
出産に立ち会ったとある羊から産まれてきたのは、頭部までが羊で首から下が人の姿をした生物。にわかにも信じがたい出来事ではあったが、娘を亡くした2人にとってはまさに"奇跡"。大切に大切に育てたその子をアダと名付け、再び訪れた家族の時間にこの上ない幸せを感じていた。だが、その幸せは次第に脅かされはじめ、、
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 『エレファントマン』を鑑賞中にふと頭の中に今作のアダちゃんが浮かんだ。動物×人間のキャラクター(『エレファントマン』のジョンは厳密には違うけれど)が登場する作品を他にも見てみようということで今作へ。

  👀👀👀

 去年映画館にも見に行って今回が2回目の鑑賞。正直1回目は「???」で頭の中がいっぱいだった。あと途中睡魔に負けた時間もあったりで、上手く感想がまとまらずレビューも保留することに。で、今回満を持しての2回目、、やっぱり理解が追いつかない話なんだなというのを再確認(笑)。と同時にお話全体を通してこういう解釈ができそうだな、というポイントはうっすら感じた。

 理解が追いつかない所に関しては「極端に少ない会話劇」や「意味深なシーン」が大いに影響しているように思える。アダが産まれる以前のシーンでほとんど台詞はなく、産まれて以降次第に増えていくとはいえ決して多いとはいえない。だから登場人物の心情を読み取ろうとすると、彼らの表情や行動を追いつつ想像するしかないのだが、度々差し込まれる意味深な映像によってさらに考えなければいけないことが増えて、、無事混乱♪という流れ(笑)。そもそもアダを当たり前のように家族の一員として迎え入れて育ててる2人が理解できない。「私の子を返して!」と言わんばかりに、連日家の前に来て鳴き声を上げ続ける羊を追い返し続ける姿にも。アダちゃんを羊小屋には置いておけないとはいえ、なんでそんな強気なのさ!と言いたくなる。けれどこの辺が多分「人間のエゴによる搾取と悲劇」といったお話全体のテーマにも繋がってるのかなぁと感じる。

 イングヴァルの弟・ペートゥルがやってきてからはさらにこの辺が色濃く描かれていて、次第に"家族の幸せ"が壊れはじめる。不可解この上ない謎の生き物をあたかも実の子どものように育てる2人を見て、理解できない様子のペートゥルはまさに視聴者と同じ。「"あれ"は何だ?」とペ-トゥルに尋ねられ、「幸せだ」と答えたイングヴァル。なぜイングヴァルとマリアはそれほどアダに執着しているのか?その理由もこの辺から次第に明かされていくのだが、それまでがかなり長いのでここも2人の行動に頭を悩ませるポイントの1つと言えるかもしれない。もし2人の娘だったアダちゃんが亡くなっていなかったら?彼らはあの時産まれてきた生き物を見てどんな感情を抱いただろう。不穏な雰囲気の中に色々考えをめぐらすことで世界が広がる、そんなお話。ホラーというよりダークファンタジー?といった印象!アダちゃんは終始可愛いし!

memo
・アイスランドではハンドボール人気なのかな?
・2人が見ていた映画は何だったんだろう?吹き替え版で見たけれど、なんか本編との繋がりがありそうなこと話していた気が、、

◎印象的アイテム◎
・トラクター
・猟銃
・お花の冠
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