垂直落下式サミング

はだか拳の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

はだか拳(2021年製作の映画)
3.5
はだか拳。脱げば脱ぐほど強くなる秘拳。四十八手を取り入れたセックスサブミッションで、相手を絶頂死に至らしめる必殺拳である。
アクションシーンが存外によかった。はだか拳の黒い三連星によるコンビネーションの場面。相手に向かっていく背中をカメラが追いかけて、拳のやり取りをする女たちを中心にしてぐるりと回る!なかなかに高揚感がある。はだか拳は、打、投、極、すべてを備えた全局面対応型。ゆえに必殺拳。宝船、花菱攻め、立ち松葉、殺人コンビネーションが天使もえを襲う。
アクションがくだらなくて、とてもいい。天使もえがベニバンを装着して戦うところで、腰をくいっと動かして膣に挿入しようとするのを敵の女が必死に避けたり、オネエのボスが鉄のパンツを履いているから立たせられないなど、バカさが最高。
主人公のパパも愛らしかった。娘が自発的に出てったならまだしも、連絡つかなくて帰ってこない失踪のあつかいなのに、家にデリバリーマッサッージを呼ぶバカおやじ。リスクヘッジがなってなさすぎ。「今日はまだ裏オプ付けてない!」っていう言い訳がバカすぎて笑ってしまった。
なんだか、ストーリーが万事うまく行きすぎるのは不満。彼氏は殺されたことにすればよかったし、天使もえもあのまま途中で死んでよかった。負の蓄積が弱くてカンフー映画の復讐モノのパロディとしては微妙。
百合のキャットファイトが売りだけあって、女子たちの女子感はなかなかシコれる。最初、あんたはウブなんだからお勉強しなよって、お友だちがスマホの画面を向けてエロ漫画をみせてくるんだけど、DMM.comの広告で出てくるような男向けの絵柄じゃなくて、女子の好みそうな繊細なタッチの線で描かれたエッチシーンだったのがグッド。
あの感じの女性向けの成人漫画って、一般漫画みたいな表紙してるのに、へーきなカンジで濃厚なのがおっぱじまるから、はじめてみたときけっこうビックリしたんだよな。きれいな絵柄のなかで、お互いの心の声のやり取りがあったりして、リビドーよりもエロスのほうに重きをおいているような描写が多いのがよき。
抜きに特化したLet's リビドーな男性向けではあまり味わえない感覚で、身体の芯のほうからドキドキしてくるのがめっちゃいい。たまに読みたくなる。