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ANOTHER GANTZのkuuのレビュー・感想・評価

ANOTHER GANTZ(2011年製作の映画)
3.8
『GANTZ』映倫区分 PG12
製作年 2011年。上映時間 130分。
累計1200万部を販売した奥浩哉の人気SFコミックを、アイドルグループ休眠中『嵐』の二宮和也と松山ケンイチ主演で実写映画化した2部作の前編。
共演に吉高由里子、本郷奏多ら人気若手俳優がそろい、『ホッタラケの島』の佐藤信介監督がメガホンをとる。

駅のホームで偶然再会した幼なじみの玄野(二宮)と加藤(松山)は、線路に落ちた酔っ払いを助けようとして電車にひかれてしまう。
見知らぬマンションの一室で目覚めた2人は、“GANTZ(ガンツ)”と呼ばれるナゾの黒い球体により、異形の“星人”と呼ばれる存在との死闘を強いられていく。

コミックの原作を深く掘り下げて映画化するのはハリウッドだけではない。
ただ、日本の漫画を実写化したらハリウッド版は大体がコケる。
しかし、邦画は当たり外れが多いが幾分か親しみは持てる作品が多いかな。
奥浩哉の原作に基づく『GANTZ』は、答えよりも多くの疑問を投げかけるSFファンタジー映画であり、2作目が始まるまでは、煩わしい考えは脇に置いて、物事を額面通りに受け入れることを本当に求めているってとこかな。
個人的には意外に素直に観れたし面白かった。

加藤(松山ケンイチ)と玄野(二宮和也)は地下鉄の駅で偶然出会う。
二人は線路に転落した男の救出に巻き込まれるが、その過程で自分たちも殺され、しかも寿命が尽きた見知らぬ男たちや、仮初めの命の恩人である巨大な黒いオーブとともに、アパートの一室に運び込まれてしまう。
ここで、オーブの起源や、彼らは本当に死んでいるのか、それとも別のリンボ(死んだが、地獄には行かない人がとどまると考えられた場所)で活動しているのか、それとも本当に夢を見ているだけなのか、といった実存的な疑問が投げかけられるが、そんなことはさてコキ、登場人物たちが取り組まなければならない基本ルールと、それに付随するアクション・シーンに観る方は浸ってほしいかな。
この物語をもう少し味わいやすくするために、『メン・イン・ブラック』の極端版として考えてもいい。
ランダムに選ばれた一見死んだように見える人々が、既存のチームに編入され、彼ら全員にパワーアップした外骨格スーツと、この地球を闊歩するエイリアンを殺すのに適した武器が与えられる。今作品は、オーブ上のコンソールを介して通信する昏睡状態のハゲ野郎がいるオーブがプレイヤーを召喚し、ミッションの目標を設定し、アクションの真っ只中にテレポートさせる。
生き残れば、もう1日?生きられる。
死ねば永久に死んだまま。
ガンツに召喚されたプレイヤーは、(侮辱されるだけでなく)ミッションでわずかなポイントを獲得し、100ポイントで記憶を消して『現実世界』に戻ることができる。
物語の最初の1時間ほどは、基本的なルールを学ぶことに費やされる。
登場人物と観客の双方を2倍の速さで没入させるために、プールの深い底に投げ込まれるより良い方法があるだろうか。
異なる視点と価値観を持つ主人公たちは、しばしば理想をぶつけ合うことになるが、いざとなれば、互いに、そして同じ船に乗る他の人々と協力しないことを選ぶかどうかは死活問題と云える。
もう一方は、ガンツの下での新たな生活を、出世してヒーローになるチャンスだと考えている。
実生活では彼はゼロなのだから、傲慢にも程があり、より危険な作戦に参加することもある。
加藤とたわわに実った(なにが?はさてコキ)豊満な岸本恵(夏菜)の恋愛や、玄野と、玄野に秘かに想いを寄せる大学の同級生で漫画好きの小島多恵(吉高由里子)の恋愛など。
驚くことに、今作品には血なまぐさい暴力や血糊がふんだんに散りばめられており(エイリアンの血は汚ならしい)、漫画やアニメの扱いに忠実ちゃうかな。
CGを駆使した未来的な武器が数多く登場し、黒の外骨格スーツも登場する。
悪役(子供エイリアンは何も悪くないが)のエイリアンたちは、動きにくいロボットから仏像に宿るものまで、さまざまな姿を見せてくれる。
特撮の饗宴であることは間違いないが、今作品は結局のところ半分の映画であり、ここで提起された未解決の疑問に決着をつける続編を楽しみにしている。
何しろ続編のサブタイトルは『パーフェクト・アンサー』なんやし。
エンディング・クレジットの後、続編の予告編が流れるし停止ボタンはしばしやめるのも一興かと。
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