ソウキチ

THE FIRST SLAM DUNKのソウキチのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
5.0
原作者が監督と脚本をやると聞いた時は、いくら井上雄彦が「漫画」の天才だからって「アニメ」や「映画」という他分野においてもその才能が通用すんのか〜?と懐疑的でした。まずは謝らせてください。疑ってすみません。大傑作でした。

というよりむしろこれは原作者にしかできない芸当といいますか。作者本人の頭の中のイメージをそのまま観ているような感覚で、本業漫画家としての井上雄彦先生はこのイメージを文字通りコマ割りして逆算的に漫画というフォーマットに落とし込んでいたのだなと。

普通はマンガをアニメ化する時ってコマとコマの間の省略された部分をいかにセンス良く動的に描くががミソになってくると思うんですが、『スラムダンク』もとい井上雄彦作品はもともとあらかじめ作者の脳内にあるアニメーションを省略してマンガにしていたのだと。

コマとコマの間に描かれてない瞬間が作者のイメージにあったからこそ、原作漫画におけるキャラクター達も本当に生きているかのような実在感を持っていたんだなと今回の映画を観て腑に落ちました。

予告の時点では不穏でしかなかった3DCGが、作者の脳内の実写的で躍動的に繰り広げられる試合を表現するアプローチとして抜群に噛み合っていておったまげた。

いやほんと最高でした。
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