バルバワ

THE FIRST SLAM DUNKのバルバワのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.6
明けましておめでとうございますm(_ _)m本年も宜しくお願い致します!
2023年一発目、First Movieは景気良くアゲアゲな今作で幕を開けることとしましょう!

いやぁ…湘北戦後のインタビューを受けている田岡茂一みたいな気持ちになりましたよ。

あらすじは湘北高校バスケットボール部PG宮城リョータの家族と仲間とバスケと葛藤!…的な話だ、ピョン!

【耳がキーンなるわ!】
冒頭は今作の主人公の宮城リョータの幼少期をこれまた丁寧に描き、そこから現代にジャンプカットしかれないのは彼がロッカーで兄のリストバンドを着けるという静かでどこか物悲しい始まり方をしたので少し身構えた途端に…

…ベベンベベンベベンベベン

と荒々しい重低音なベースから始まるオープニングテーマ《LOVE ROCKETS》が耳をつんざき、目の前には宮城をはじめとする湘北高校バスケットボール部のメンバーがラフ画風のアニメーションで横並びで歩いてきて、それを待ち構えている今回の宿敵である山王工業高校バスケットボール部と対峙するというオープニング流れる…かぁぁぁぁぁっっちょいいぃぃぃぃぃ!
まさに、ワルモノ見参!!

何!?冒頭との高低差はッッ!そして、そこからは登場人物の心情や葛藤にまつわる静的なシーンと躍動する試合を描く動的なシーンが交互に押し寄せます!しかも、試合の中でもよく動くアニメーションと無音を含めた音楽を上手く使い分けて静と動の緩急が効いているのでその高低差にも耳と目がキーンッッ!

もし、鑑賞後にインタビューされたら「冒頭から9割方ウチの思惑通りではなかった。」と答えていたでしょう!もう自分のバカ!

【ハラハラ】
私、原作を小学生の時に通っていた小児科で21巻まで(22巻以降は置いておらず)目を皿にして読み、高校時代では授業、休み時間の見境なく級友と全巻回し読みしていたので今作の試合の結果は事前に知っていました。
しかし、試合の進行中「この後どうなっちゃうの?!」「ヤバい!」とか手に汗握ってしまっていたのであります。
隣にいた方は両手を胸の前で祈るように組んでらっしゃいました( ´∀`)ワカルー。

それだけ試合中のスローモーションの入れ方や音楽使い、カメラワークがこちらのエモーションを揺さぶり…いやさ、手のひらで転がしてきたということなのでしょう。

今作の制作&公開が発表され、監督は原作者の井上雄彦先生だということで若干の不安要素その1だと考えてしまっていてすみませんでした!

【品があるゥ】
今作は登場人物の心情がとても丁寧に描写されていました。しかし、だからといって心情を吐露するような露骨な台詞はほとんどない…というよりは、肝心なことは簡単な台詞や仕草、カメラワークで伝わってくるようでした。

特に緊張や恐怖からくる手の震えをポケットに手を突っ込む描写はとても好ましく、日頃ビビることの多い私にとっては自分の心を落ち着かせる為に心のポッケに手を突っ込んでいます(職業柄ポッケINはダメなので)。

他にも天候で今後の展開を暗示してみたり、ジャンプカットでサクサク展開を進めてみたり…「漫画家は優秀な脚本家なんだ、侮ってはいけなかった」木暮ことメガネくんにスリーポイントシュートを決められた時の田岡の如く、今作の上品な語り口に自身を反省致しました。

【リョーちん!】
今作の宮城リョータの抱える葛藤はバスケットボールという競技と大きな不幸に見舞われた自身の家族とが複雑に絡み合っておりました。
そこで苦しみ、臆しながらも懸命に立ち向かい、向き合おうとする姿はとても胸を打ちました。

また、家族と好きな競技の間で自身のアイデンティティーに思い悩むという面は名作『クリード チャンプを継ぐ男』の主人公アドニス・クリードと、家族が亡くなったことに立ち直れない母親に複雑な思いを抱く姿は個人的に2022年ベスト映画である『かがみの孤城』の同じような理由で家族から離れハワイ留学しているリオン君と重なりました。

小柄ながら試合で活躍し名実ともにチームの支柱となったその姿に、心の距離が開いていた母親との決着と過程に、もう滂沱の涙を流しましたよッッ!!

正直に申し上げますと今作を観るまで宮城リョータには特段思い入れはなく、同じ湘北ならばメガネくん(今作も地味ながらしっかりと活躍してましたよ!)が推しだった私は今作を通して宮城リョータことリョーちんに首ったけになりました…そう思うと鑑賞前は「不安要素その2ー宮城が主人公!!」とかナメきっていて申し訳ありません。一生ついていきますリョーちん先輩ッッ!

【最後に】
もう好きな所を上げるとキリがなくて…

🏀ゴリの「宮城はパスができます」からのリョーちんの顔
🏀1on1で動き出す前が侍の抜刀みたいでカッコいい
🏀リョーちんと同学年で控えのメンバーのヤスがリョーちんが活躍するシーンでチラッと映り、嬉しそうにしている
🏀湘北3人がマッスルポーズをお返しするところ
🏀流川の「ウス」
🏀超有名なあの台詞を口パクにしているところ
🏀沢北のお参り
🏀ミッチーの「手も上がらねぇ」
🏀メガネくんの選手交代の時のワカンダライクに腕をクロスする姿
🏀リョーちんの妹ちゃんのあっけらかん感
🏀立ち上がる魚住

…もうたくさんありすぎなんですよ!

あとギャグシーンで登場人物をデフォルト(頭身を小さくしたり、顔のパーツを簡素化したり)しないことでこの物語に実在感が生まれていました。

エンディング曲の《第ゼロ感》の歌詞がリョーちんの心情に重なるし、なんなら"手負の夢を紡ぎ直せば "という歌詞は井上雄彦先生が連載最終回で編集といざこざがあった《SLAM DUNK》という自身の大好きなバスケットボールという競技を漫画に落とし込んだ作品を紡ぎ直したということと重なるし、"それが最後になる気がしたんだ"という歌詞は今作で語り切るという覚悟と重なっているように感じました。

とにかく、公開が決定した時から今作をこんなに好きになるとは思わず、周囲の今作への絶賛する声を耳にしても半信半疑だった私は見事にぶっ飛ばされました!
去年鑑賞していたらランキングがどうなっていたか…。

謝るべきはこの私!!今作の作り手の皆様は最高の映画を作った!!

ナメてて本当にすみませんでしたぁぁぁぁぁ!!


現在、妻も今作に興味を示しておりNetflixでアニメを観進め、今作を鑑賞する準備をしております。因みに妻の推しはゴリこと赤木キャプテンと桜木軍団の水戸洋平です。
早く一緒に観に行きたいなぁ!



そして、そのゴリに命を吹き入れていた梁田清之さん…《SLAM DUNK》だけではなく《ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー》《魁!!クロマティ高校》等の私の人格形成に影響を及ぼした作品に出演されていて本当に大好きな俳優さんです。
これからも折りに触れ出演されていた作品を鑑賞していきたいと思います。
バルバワ

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