Fitzcarraldo

THE FIRST SLAM DUNKのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.0
言わずと知れたバスケット漫画の金字塔であるスラムダンクの劇場版アニメ。

連載当時10〜16歳という思春期真っ只中であり、スラムダンクと共に育ってきたと言っても過言ではないド真ん中世代の私であるが…なぜか、この劇場版には腰が重かった。いつになっても見る気がしない。

実際に劇場版を見た人が自分の周りに現れなかったのも要因のひとつか…

昨日になり、ようやく絶賛の話を直接耳にして、重い腰をあげることに。

先ず、声優変更に関しての違和感や、声がお洒落すぎると聞いていたのだが、もともとテレビアニメを軽くしか見てない私からしたら、そこに違和感はなかった。もとの声優さんの声を大して覚えてないので問題なかった。

声優さんに対しての違和感はないが、試合会場のお客さんのペラペラ感には萎えてしまった…VRだぁオープンフィールドだぁ…と劇的に進化したゲームにおいて、急に客席だけファミコンかよっていうほどの観客たち。

湘北メンバーや山王メンバーが客席を背にすると変に浮いてしまって見える。それが気になる。
ヘタクソな書き割りの前で芝居してるみたい…。

シーンによって客席が急にリアルに動いたりするのも、書き割りとの差が目立ち、余計に気になる。

気になるといえば…前半があっという間に終わったのも何だか…もうちょっと前半にもハイライトあったよな?随分と呆気なく終わってしまった。

宮城リョータの視点が…とは予め聞いてはいたが…んー安易に人を殺しすぎている気もする。ドラマを作るためだけに簡単に人を死なすのはどうだろうか?

あの短いエピソードの中で、父も死に、すぐ後に兄も死ぬというのは…さすがに強引ではないか?トントン拍子で身近な死を2つ続けるのは気持ち悪い。

現実として、ない話ではないし、人間いつ死ぬかも誰にも分からないものだが…だから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが…感動させに狙ってるような気がして、そのやり方には少し引いてしまう。

泣いたんだけどね…ボロボロと泣いたんだけど、なんかズルい気がする。

そんなの新たに入れなくたって、山王戦だけで充分に泣けるんだよ。

自由に動かせるアニメの良さもあり、テンポ感は実際のバスケの試合に近い、スピード感に溢れていて素晴らしかった。

しかし、漫画の絵ならではの良さを消えてしまう部分もある。

桜木と流川のハイタッチは漫画の方が劇的に描かれていて、劇場版ではヌルっと流れてしまっている気がする。

リョーちん目線から捉え直す新しい試みも新鮮さもあり楽しめたのだが、やはり桜木花道をメインで見たかった。

まぁ花道目線は自分の中で補完できてしまうほど、ド真ん中世代なんだなということを再認識させてくれた作品となった。
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