やわらか

硫黄島からの手紙のやわらかのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.0
この映画には個人的に強い思い入れがあって。90年代の後半から10年近く、全く映画を観ない時期が続いた後に、たまたま帰省したタイミングで、知り合いに誘われてこの作品を観た。
 
それまでダーティー・ハリーの人、という印象しかなかったクリント・イーストウッドが、日本人では描けないような日本人像をアメリカ映画の中で撮ったことに驚いて、それ以降また劇場に足を運ぶようになった。
 
で、今回。新文芸坐のイーストウッド特集でほぼ10年ぶりに観賞。フィルムでの上映だったけど、心なしかスクリーンが経過した年月以上に色褪せてるように思えた。率直に言えばさすがに初めての時ほどはインパクトなかったかな。
 
まず前半、時系列の経過が突然で少し違和感があった。(テレビ放送で映画の1シーンがカットされた後に感じるようなあれ)あと、二宮さんとか加瀬さんとかの台詞が、堅くなったり妙に現代風になったりして、統一感がないように感じることもあったかな。
 
とは言え、全く異なる文化的背景を持つ監督がこれを作るってやっぱり凄いし、良いキャラ・悪いキャラをバランスよく混ぜることで、エンターテイメント作品としても十分楽しめるように作っている。

戦争の描写は、重く残虐なシーンが多いけど、遠景で描かれる米軍の上陸とか日本人部隊の決死的な突撃とか、絵としてのかっこ良い部分もしっかりある。全体をセピア調の色に調整してるからどのシーンもちょっと膜がかかったような印象を受けるけど、その分ショッキングな描写でも見易くなっているかな。
 
ちなみに、本日の2本立てのもう一本「父親たちの星条旗」、まだ観たことないのでぜひ観たかったのだけれど、時間が合わなかったのでそちらはまたの機会に。
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