Fitzcarraldo

ベルリン・天使の詩 4K レストア版のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

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ただただ罰ゲームにしか感じなかった。
座っているのが苦痛で、いつ帰ろうかしか頭になかった。なぜ我慢して最後まで座っていたのか、何を期待していたのか…あぁほんとに帰ればよかった。

とにかく延々とモノローグが続くのは耐えられない。鈴鹿8耐に倣い、天使8時間耐久モノローグレースと名付けたいほど。

モノローグってそもそもなんなの?もとは演劇用語の独白からの転用じゃないの?そもそも映画に向いてる手法とも思わない。

別に独り語りを見たいわけじゃないんだけど…それなら落語を見に行くし、講談を見に行くし、小説を読むよ。

モノローグではなくてダイアローグが見たいんですけど…

これは好みの問題なのかな?
モノローグで心の内や目に見えないものを語らせてしまうのは映像表現としては安易だと思うけど…「いまこう思ってます」「いまこういう状況です」と簡単に言えるのは楽してるとしか思えないし、捉え方を限定的にしてしまい受け手の幅を狭めてしまうと思う。映像で語ってくれないと…。

ボソボソと抑揚のない一定した語り口のモノローグは、お経のようであり全校集会の校長先生の話のようでもあり、眼を開けてられない…

寝たり起きたりの繰り返しであったが、どのタイミングで目覚めても、スクリーンには何の変化も起きてないし、何も進んでないもないし、相変わらず耐久モノローグレースを続けていることに、もはや完走することを諦める。

エンドロールに入り、我先に退出したのだが…ほぼ満員なほど混んでたのにはビックリした。しかも若い人たちが多かった気がする。若さならではの忍耐力がなければ最後まで見てられないと思う。

とかく私も二十歳前後の時に、本作をDVDかVHSかを借りて見た気がするのだが…その時も寝てしまった。
劇場で見れば寝ないだろうと鷹を括ってのリベンジマッチであったが、呆気なくリタイヤしてしまった。

体質的にヴェンダースは合わないのだろう…


町山智浩氏の解説によると…

後にノーベル文学賞を獲得する小説家ペーター・ハントケが共同脚本にクレジットされているが…
彼はシナリオを全く書かずに、冒頭の詩と断片的な台詞(たぶんモノローグのことだと思う)を手紙に書いて送ってきただけらしい。

だから脚本らしい脚本は全くなかったと…シナリオがなく即興的に作ったと…それらを繋げたのがヴェンダースだと。

土台となるものがないのだから、そりゃ面白くなりようがないだろう…
台本なしにどうやって撮るのよ?

北野武もガッチリとした台本を書かないと聞くけど。

町山氏曰く、シナリオがないと撮影できないため、トリートメントというものを俳優やスタッフに渡されたと…なんだそれ?初めて聞いたぞトリートメント?

これから撮る映画は全体的にこんな話ですよということが書いてあって、そこに裏設定も書かれているものらしい。

町山氏曰く…第二次世界大戦が終わり、神様は人間の残虐性に呆れて、もう人間を見守るのをやめると言い出す。そこへ、神様と人間の間にいる天使たちが、まだ見捨てないで!と神様に頼み込む。すると神様に反抗することは何事か!と神様が怒り、お前らを最悪な場所へ飛ばしてやると…それで天使を幽閉した場所がベルリンだったと…神様に反抗した罰として人間を救う能力も奪われて、ただ見るだけの存在にさせられた天使という裏設定らしい。

プロローグで、この説明を入れようとしたらしいが…結局、削ったんだと。

説明があってもなくてもモノローグが延々と続くのであれば大した差異はないかと…

しかし、町山氏の1時間の説明すらも眠くなってしまうという…とことんヴェンダースにハマってない私。

ホメロス=ヴォルター・ベンヤミン
ホメロスを演じていた俳優もユダヤ人で東ドイツ出身で…ベンヤミンと重なっているんだとか…こんな説明を聞かなきゃ分からないような映画はどうなんだ?自己満だろ?見てて分からないんだから。


35歳を過ぎて独身の男は何かある…面倒くさいだの、性格が破綻してるだの、何かしらの問題があると…それならまだバツイチの方がいいと…様々な人から何度もそう言われたことがあるが…

5回も結婚してるヴェンダースの方がよっぽど何かあるだろ?
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