"いいもの見たい？"
イーダは郊外の団地に引っ越してきた…両親は自閉症の姉アナに手がかかり、イーダはいつも後回し…丁度夏休みという時期でもあり、閑散とした団地内…友達がいる訳でもなく、手持無沙汰げな様子のイーダに一人の少年ベンが声を掛ける…
ベンはまるで魔法の様に小石を飛ばす…
アナと散歩に出掛けた時に出会ったアイシャは、どうやらアナの気持ちが読めるようだ…そしてアナにも不思議な力が…
…それは4人だけの秘密の遊び…だがベンの持つ力が思いの外強くなり…やがて…
無垢で純粋な子供故に、邪悪で残酷…
主人公イーダは、所謂"きょうだい児"…姉の障害を理解しつつも、両親の愛情を全て姉に持っていかれていると思っているフシがあり、姉に対する嫉妬心が強い…
ベンもアイシャも父親がおらず、母からの愛情は薄く、境遇が似ている…
自閉症のアナは、アイシャと出会うまで他人とのコミュニケーションが取れず…
4人の子供達は、心に歪みと闇の部分を抱えつつ、ベン・アイシャ・アナが持つ力を遊びの中で強化していく…
昨今のヒーローモノ的な派手なサイキック演出はありませんが、何とも観る者の心に重くのしかかる…そして、引き込まれる…
子供が持つ純粋で無垢な部分と目を背けたくなるような残酷な部分の両方を見せつけ、初めは魔法のような力を使って遊んでいただけなのに、アレよアレよという間に取り返しのつかない展開へとなるのは見事…子供の"怖さ"というものを存分に見せて貰いました…
イーダを演じた子役の可愛らしい反面、秘めた暴力性を垣間見せる演技は素晴らしいです…ちょっといじめっ子チックな顔立ちがまた…
また一つ、北欧スリラーの傑作を目撃しました。
