千年女優

イノセンツの千年女優のレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.5
自閉症に起因する言語障害を抱えるアナの幼い妹で、両親に連れられて団地へと引っ越してきたイーダ。両親は姉にかかり切りで慣れない環境にも不満を持つ彼女が、団地で出会った不思議な力を持つ二人の子供、念動力を持つ少年ベンと読心術を持つアイシャと姉ともども交流を育むもやがてその力を暴走させていく様を描くホラー映画です。

ノルウェーの映画作家で『テルマ』『わたしは最悪』らのヨアヒム・トリアー作品の共同脚本で知られるエスキル・フォクトが自身の脚本を映画化した2021年公開の監督作品で、カンヌ国際映画祭のある視点部門でプレミア上映されると『テルマ』にも通じるサイキック・キッズがもたらすホラーが称賛されて本国のアマンダ賞を席捲しました。

大友克洋の『童夢』にも触発されたという物語は老若問わず人が抱いてしまう「悪意」がオブラートに包まない子供が故に露呈してしまう様を綴ります。超能力ものでは定型のコンセプトで特徴とする露悪もやや投げっぱなしで手に余っている印象はありますが、観客の望まぬ方向へ話を転がすスリルでイヤミス展開を盛り上げている一作です。
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