「イノセンツ」
「わたしは最悪。」「テルマ」など、ヨアキム・トリアー監督作で脚本を務めてきたエスキル・フォクトが監督を務めた、ノルウェー発のサイキック・スリラー。団地で暮らす4人の少年少女に物を動かしたり、互いの心が読めるなどの不思議な能力が発動することでおこる騒動・悲劇を描く。
「ぼくのエリ 200歳の少女」「テルマ」などの北欧ホラーがもとからすごい好きなのですが、本作も例にもれず描写は静かでありながらも、撮影などがクールで、めちゃくちゃかっこいい映画になってました。
大友克洋の「童夢」にインスピレーションを受けたということで、話的には「童夢」やジョシュ・トランク監督の「クロニクル」(2012)のようなものではあるんですが、派手な場面はまったくというほど無い。
すごく遠くを写したり、変な角度からのショットであったりで、どこか冷たいというか、スタイリッシュでアート的な雰囲気が強い作品でした。 あとは子供の無邪気な残酷さ、とりわけ能力がとんでもない方向に発達する男の子・ベンくんの友達をつくりたいが為にとってしまう、ちょっと度を越えた行動は、画面に映るたびに「ひっ」って息が詰まりました。
子供の無邪気な残酷さに加えて、「大人にはわからない」「大人はわかってくれない」系の怖さや切なさであったり、また子供の成長も描いているのもポイントだなと思います。
特に唯一、超能力が発動しない女の子・イーダの「もし意地悪をされたらどうすればいいのか」とお母さんに尋ねて、お母さんが「大人に助けを求めなさい」と答えるも、結局は自分で暴走するある子供を止めにいくシーンはぜんぜん派手でないながらもめちゃくちゃぐっと来ました。
グロさや大きな音で脅かすような怖さはないし、派手なアクションというのは全くもってないんですけど、終始ヒヤヒヤする場面が多く、終盤は結構アツい展開になるので、すごく大好きな1作になりました。おすすめです。