EDDIE

死刑にいたる病のEDDIEのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.9
24人殺害の罪で収容された男。容疑を認めながらも一つは自分の仕業ではないと言う…阿部サダヲの妙演に釘付けに。岡田健史の心情に合わせた面会時の撮影技法がお見事。フィクションだから成せるエンタメとして昇華されたサスペンスに酔いしれろ。

〈ポイント〉
・阿部サダヲのサイコ劇場開幕
・事件の真相を暴いていくにつれて心がぶれて翻弄されていく雅也役の岡田健史も良い
・なんといっても撮影!刑務所の面会室のガラスを起点に何通りものお見事な映像をクリエイトしてくれる(撮影監督は『さがす』などの池田直矢さん)
・何が真実かわからなくなり、すべてを疑いたくなる構成もお見事

〈雑感〉
前評判の触れ込みから「阿部サダヲがやばい」と漏れ聞いておりましたが、この得体の知れない変な人の役が本当に上手い。
なんなら上映前に流れていた同じく阿部サダヲ主演作品の『アイ・アムまきもと』はコメディなのに、こっちの阿部サダヲも怖く感じてしまいましたもん。笑

連続殺人事件の犯人として刑務所に収監されている榛村大和。
彼は24人もの若い男女を殺害した罪に問われているわけですが、そのうちの一人は自分ではないと言い張るのです。
とはいえ20人以上も殺害した殺人鬼である事実には変わりないわけで、そりゃあ警察もそんな話信じるわけありません。

そこで白羽の矢が立ったのが筧井雅也。Fランク大学に通う彼ですが、なんと中学生の頃は榛村が営むパン屋の常連。
雅也が真実を暴いてくれる、と期待して声を掛けるわけですが、いやぁそれからの展開というものの…とんでもなかったですね。

まぁ序盤とか調べ物してるシーンとか、いくらか退屈な部分もあったので、4.0は超えておりませんが、とにかく榛村と雅也が面会するシーンがいずれも見応えがありすぎて、サイコサスペンスって位置付けではあるんですけど、純粋にエンタメ映画として面白すぎました。

この映画の真実は観るまで絶対に明かせませんが、真実が明かされた後ももうひと山あるので、最後の最後まで楽しめました。
ラストシーンは唸ってしまって、もうニヤけ顔でエンドロールを眺めていましたよ。

今回被害者の女性の一人を演じた佐藤玲ちゃんがとにかく体を張った演技を見せつけてくれて、雨の中のシーンはもう目を背けたくなるほどエグい。ずっと佐藤玲ちゃんが心配でなりませんでした。

岩ちゃんもなかなかクセのある役柄で、これまで爽やかイケメンのイメージだったので、もはや本作で新境地開拓か!?と思わせられました。

人体損壊のエグいシーンが随所に盛り込まれる点は苦手な人は注意が必要ですが、最後の最後まで気の抜けないこの感じ、本当にたまりません。

〈キャスト〉
榛村大和(阿部サダヲ)
筧井雅也(岡田健史)
金山一輝(岩田剛典)
加納灯里(宮崎優)
筧井和夫(鈴木卓爾)
根津かおる(佐藤玲)
佐村(赤ペン瀧川)
クラタ(大下ヒロト)
地元の農夫(吉澤健)
滝内(音尾琢真)
赤ヤッケの女(岩井志麻子)
相馬(コージ・トクダ)
筧井衿子(中山美穂)
小松美咲(神岡実希)
久保井早苗(川島鈴遥)
宮下陸(大原由暉)

※2022年新作映画70本目
EDDIE

EDDIE