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ベルファストの雑種のレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.5
ケネスブラナーが故郷ベルファストを舞台にした映画撮りますよ〜って情報が出た時から「絶対観る」って心に決めてずっと心待ちにしていた作品。なぜなら私がこの世で一番好きなギタリストもベルファスト出身(しかもケネスブラナーと同世代)で、昔話していたベルファストで過ごした幼少期の話がなかなか壮絶だったから、きっとこの映画観たら少しは推しのルーツも知れるんじゃないかと思って。そんなちょっとした下心的な理由もあったけど、世界が今こんな状況なのもあってやっぱり観に行って本当に良かった。ラストのジュディデンチの真正面からのカットはドデカいポスターにして飾りたい程ヴィジュアル的にスバラーだった。

推しがベルファストの話をする時いつも「ギターに出会うまではサッカー選手になるのが夢だった。みんなそうだった。ベルファストではサッカー以外やることがない」って言ってたから、冒頭で子どもたちがサッカーしてるシーンで「ほんとだったんだ…」ってなった(そんなことはないだろうけど)

ベルファストと一括りにしても地区によって状況は色々と違ったんだろうけど(パンフレットにベルファスト各地での戦況みたいなのが詳しく書かれてた)バディの家族とあの街のひとたちはみんな本当に陽気で暖かくて、まさに『故郷』と表現するにふさわしい素晴らしい環境でケネスブラナーは育ったんだろうなと思う。というのも、ギタリストの推し(カトリック)は、生まれた時から既にカトリックとプロテスタントは憎みあってたし、街にはいつも兵隊がいたし、そんな状況で育ったからそれが異常だとも分からなかった。親や教師になんで憎みあってるのか理由を聞いても『プロテスタントは悪い人間だから』としか教えてくれなかった。10代の頃にバンドを組んだメンバーにプロテスタントの子がいて、その子と仲良くなってはじめて宗派の違いだけで憎み合うなんておかしいと気付いた」って言ってて、そのイメージと劇中で登場するバディの周りの大人たちでは明らかに温度差があるなと思ったから。推しのように、ろくに説明もせず相手を憎む言葉ばかりを並べる大人たちに囲まれて育ったならまだしも、街全体が家族のように寄り添って、宗派に関係なく支えてあっている人たちを見て育ったら、そりゃあケネスブラナーもそれを物語にしたいと思うわな、と納得。

バディの家族みんな素敵だったけど、とにかくもうポップ!!ポップの言葉のひとつひとつ、小っちゃなぼやきから真面目なセリフまでとにかく全てが粋であったかくて最高だった😭病院でのバディと2人のシーンでのセリフと表情が忘れられない。まさしく『愛すべきおじいちゃん』という表現がぴったりの優しくて愛情深くて愛おしいポップ。オスカーの助演男優賞トロイコッツァーが本命らしいけど個人的にはキアランハインズに絶対取ってほしい〜!!あとお金にルーズな所が玉に瑕だけど、パもすごく頼もしくて好きだったナァ〜。バディが「彼女はカトリックだけど結婚できるかな?」って聞いた時に、相手を思いやって尊敬する気持ちがあれば宗派や宗教が違ったとしても、彼女も彼女の家族も大歓迎だ的なことを話してたシーンめちゃくちゃ胸に響いた。バディの「たぶんいまこの街では何か大変なことがおきている」けど、「僕はなにも変わりたくないしどこにもいきたくない」っていう気持ちがひしひしと伝わってくる表情にずっと胸打たれっぱなし〜!ジュードヒルくんはめちゃめちゃ将来が楽しみ〜!!本当に本当に本当にずっと可愛かった!!「環境に優しいから…」🤣一番好きなシーンなんだけど、あれはケネスブラナーの実体験らしい(笑)

007やマイティソー、アガサクリスティが出てきたのってもちろん当時のカルチャーを投影したのもあると思うけど、メタ的な小ネタでもあるのかな??

♪Everlasting Love
♪Days like this
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