ルアナ・バイラミ初長編。彼女は『燃ゆる女の肖像』『Ibrahim』『キャメラを止めるな!』『あのこと』等々、最近のフランス映画でよく見かける脇役の一人だが、実はコソヴォ南部フェリザイ郡のプレシナという村の出身らしい。一家は彼女が7歳になった2008年にパリの南東にあるクレテイユに引っ越した。同じ年、ニコラ・バリ『Trouble at Timpetill』を観て演技に興味を持ったルアナは、2011年から女優として活動を始めているので、今年で芸歴11年目らしい。本作品の舞台がいきなりコソヴォとなっているのはそういうことのようだ。本作品はコソヴォの田舎村に暮らす三人のティーン少女が主人公となる。彼女たちは退屈な田舎生活に嫌気が差し、三人揃って都会の大学に行くことを望んでいるが、各々の事情が彼女たちを苦しめる。チェには仲の良い妹がいる、彼女を残して街に出るのは忍びない。逆にイェタの両親は他界している。叔父の家に居候しているが、叔父が言い寄ってくるのでさっさと家を出たい。リーの家だけは娘が大学に行くことに協力的だが、それも戻ってくることが前提での話だ。大学からの知らせ(合格通知?)をひたすら待つだけの三人は、村の廃墟や空き地をフラフラし続ける。本当に何もすることないんだな、と思ってしまうくらい、物憂げにボーっとしたり、ストレス発散したりするだけのシーンがかなり描かれていて、全体的には冗長な映画という印象しか残らないのが難点。