2001年春。私は初めてNYを訪れた。アメリカ自体がまったく初めてだったので、かなり興奮していた。
ただ到着した翌日が土曜日だった。銀行が閉まっていてT/Cを手数料無料で換金できるところがなかった(そのときアメリカではT/Cをそのまま支払いに使えると知らなかった)。
それで朝食も食べずにふらふら歩いていると、天へ向かってまっすぐ伸びる2本のツインタワーに出くわした。
「へえ! これがあの世界貿易センターか」
ふと見ると、低層ビル(5 WTC)にCitibankのATMがずらりとならんでいではないか。日本の同じ銀行に口座を持っていた私は、ここから米ドル現金を引き出すことができ、ほっと一安心したのだった——
それから半年後に起こったテロである。実際に訪れた場所だけに、衝撃はより大きかった。
日本人の私でもそうなのだから、当時の大統領だったブッシュJr.とその側近にはとんでもなく強烈だったはずだ。この映画は彼らにとっての〝いちばん長い日〟を中心に構成されている。
当時の緊迫感がとても伝わる映像。特にWTC倒壊時の映像は圧倒された。日本でも何度も報道されているはずなのに、なぜか初めて見たもののような気がした。
またハイジャックされたのは4機で、うちテロに成功したのは3機だけだと後日わかるわけだが、もちろん当時はわからないわけだから、機影に人々が逃げ惑う映像は恐ろしくリアルだった。
そして、ワシントンにもどったあとの大統領の演説。ある一言を入れたことによって、アメリカは激変した。今は大きな歴史の一場面と化した1日。二度とくり返してはならない惨劇だとあらためて思った。
[オリジナル音声+日本語字幕]2023/04/07 Apple TV+
P.S. プーチンに、アメリカが厳戒態勢に入ることを連絡した件。「冷戦が終わっていることを実感じた」という高官の言葉も、今聞くとなんだか空しい。