ぶみ

よだかの片想いのぶみのレビュー・感想・評価

よだかの片想い(2022年製作の映画)
3.5
あなたに、私の左側にいてほしい。

島本理生が上梓した同名小説を、安川有果監督、城定秀夫脚本、松井玲奈、中島歩主演により映像化したドラマで、メ〜テレと制作会社ダブがタッグを組んだプロジェクト、(not)HEROINE moviesの、加藤拓也監督『わたし達はおとな』に続くシリーズ第二弾。
顔にアザがある大学院生と、彼女について記したルポ本を映画化しようとする監督の恋模様を描く。
原作は未読。
主人公となる大学院生アイコを松井、映画監督である飛坂が演じているほか、藤井美菜、織田梨沙、青木柚、手島実優等が登場。
物語は、小さい頃に顔のアザをからかわれたことから、恋愛に消極的なアイコと、彼女の本を何とか映画化しようと近づく飛坂の姿を中心に展開。
松井と言えば、SKE48のメンバーとして、松井珠理奈とともにW松井としてグループを牽引したイメージが強く、演技はメ〜テレのドラマ『名古屋行き最終列車』で見た程度なのだが、本作品では、コンプレックスと向き合いつつ一歩ずつ前に進んでいくアイコを見事に演じており、アイドル的な印象は皆無。
また、濱口竜介監督『偶然と想像』で、抜群の存在感を見せていた中島は、本作品でも、その独特の声と口調で、癖になりそうな魅力を放っている。
そして何より、最近では『アルプススタンドのはしの方』や『女子高生に殺されたい』、『ビリーバーズ』等々、幅広い作品で監督を務めている城定の脚本が、語りすぎず、かと言って静かすぎずと、絶妙な塩梅であり、主演二人の魅力を引き出しているのも特筆もの。
『わたし達はおとな』にあった日常生活を覗き見しているかのような圧倒的なリアリティはないものの、何気ない日常を繊細な映像で描き出し、アイコと飛坂の距離感と、アイコの変わっていく姿を、主演二人の演技で堪能できる一作。

あなたなら、私の左側を否定しないと思ったから。

〜The Nighthawk's First Love〜
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