イツキヨウ

もうひとりのトムのイツキヨウのレビュー・感想・評価

もうひとりのトム(2021年製作の映画)
4.0
シングルマザーの母親と息子トムの話

トムは母や周囲を困らせる行動ばかりする
他にも人がいるのにエレベーターのボタンを片っ端から押す姿や、母の会話を邪魔したりといった落ち着きのない行動や、ルールを知りながら無視して周りを困らせる姿が印象的
一方、母親は若くして母になったことや、夫と別れたことで独りで生きていく必要があり、経済的な余裕もなく、困らせる行動ばかりとるトムに対して苛立ちを覚えている
そして、自分ではわからないテクニカルな問題として、息子がADHDと診断され、受け入れざるをえなくなるが、副作用について周囲から言われ、苦悩する

トムが胸に抱えているだろう悩みは、観客である我々は第三者的に俯瞰しているため、想像がつくが、彼のため、自分の生活のために働きづくめで夜に帰ってくる母親からはぼんやりとしかみえない
そのため凄くもどかしい、しかも、それが併発しているADHDに隠される

緩急の少ない話だがとても綺麗なヒューマンドラマだった

精神病や思考の癖は、外部からみえづらいため、言われてみればそうともとれるという症状、兆候から診断される
そのため、病名を受け入れることは難しいし、増えていくしやめられない薬、薬漬けにされるのではないかという病院に対しての不信感は拭えない
同じような経験があるので、共感できたし、9歳の息子に対して、親として判断してあげなければならない彼女の葛藤は大きかっただろうと思う
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