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クレーン・ランタンのギルドのレビュー・感想・評価

クレーン・ランタン(2021年製作の映画)
3.3
【追憶で進む道】【東京国際映画祭】
女性を誘拐して服役した男と法学部の学生との対話を描いたヒューマンドラマ映画。

一言でまとめるならば映像の詩集って感じはしました。ノリ的にはタルコフスキー「鏡」のようなものだと思う。
美しい映像を見る映画は好きですし、アート映画もそれなりに見てきたつもりです。個人的には本作はあまり没入感を感じる事は出来ませんでした…

まず映像は前評判・予告編から分かるくらいに美しいです。ストーカーや鏡と微妙に既視感があるので、そこは人次第ってところはあるかもだけど予告編で映像に惹かれた人にとってそれなりの満足感を与えてくれると思う。

それ以外は…ぶっちゃけ勿体ぶった映画で微妙でした。
タルコフスキー「鏡」もストーリーがかなり難解というか、話の成立性がほぼないように見える作品ではあるもののこっちは映像自体に草原✗雨✗燃えた家…やベッド✗廃れた建物✗宙に浮く女性と映像の新鮮味があるし、この作品が後続作品に活かされているというので評価してます。


クレーン・ランタンは主題に対して、尺が引き伸ばされてる感が凄くて「これ2,30分くらいの短編で良くない?」感が凄いです。
服役中の男と法学生のやり取りに追憶する中で惹かれる強いエピソードがあれば、スローペースでもOKだけど道を外すと終わる…とか周りの期待通りに…とかのよくあるテーマを引き伸ばしたのは見るのしんどかったです。

映像は美しくて要所要所がカッコ良かったものの、退廃的な建物・水溜り・森…などが繰返し使われたり要所要所で昼寝したり眺めるシーンが多くて、途中飽きました。

多分、この映画でも何らかのシンボルがあってそれを紐解く楽しさはあるんだろうと思う。でも、意味不明な描写が多くてそのシンボル読み解きをしようという気力が湧かないです。。

ただ単に美しい映像が観たい、独創的で変な映画が好きという人にはお勧めします。
個人的には映像が綺麗…とか変わっているというだけでは好きになれません。
映像もブレードランナーやタルコフスキー作品みたいな新鮮味あるものとは言えず、既視感と繰返し使用の胃もたれ感があるし、好きとはまた別です。
独創的であること以外に魅力がないと見づらいです。

映像は非常に美しくかっこいいのに映画の内容がスカスカで必要以上に気取っていて残念でした。
視聴者が頭を捻って映画の中身を見出さなきゃいけないよりは
もう少し中身があればもう一度観る気になれた気がします。 
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