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リベルタードのみのレビュー・感想・評価

リベルタード(2021年製作の映画)
4.3
夏の自然あふれる爽やかな別荘において、こんな気持ちにされるとは

鑑賞後に咀嚼がとても必要で、
TIFFのオンライントークショーの動画が上がっているので見てみた
恵まれてると自覚している監督の実体験から構想されたことや、リベルタード役はコロンビアの街でスカウトしたことなどなど。鋭くて熱心でこだわりを持った監督さんだなあと思った

劇場公開してください!






最後のネタバレはしないけど、本編の描写に触れずにはおれん







冒頭カーテンの向こうですすり泣く声。
きっと頭良ければ序盤でその意味に気付く。自分は3歩歩かなくても忘れるトリなのでかなりすすんだ途中、冒頭思い返してはっとする。見終わって終盤の展開思い返して更にはっとする

決定的に格差がある同じ年頃の少女2人(ノラとリベルタード)が出会い、興味を持ち、友情みたいな感情を持つ。だけど構造的な格差が2人を残酷に引き裂いてく。それは家族や周りの人の言動だったり、自分の中に生まれた罪悪感(背徳感)・妬みだったりで

経済的特権をアイデンティティにして、
隣にいる使用人と娘を別の世界の人だと、なんなら友達として付き合うなとまで言ってくる母(一応言葉は今っぽくオブラートに包みつつ、包めてないよ!)
…同じ建物に暮らしている人間にも関わらず。親の介護は全部使用人にやらせて。ノラと同世代のリベルタードまで使用人として使いよる。格差の再生産や…
ノラは母に咎められてもリベルタードと仲良くしたそうな顔をしてる(んだけど、行動しないのよ!無意識かもだけど…皿を片付けるくらいやれよ、パーティーの準備やれよ)

怒りが湧いてくるこの格差再生産システム。パラサイトと同じものを感じる

すごい絶望と、でも少しだけ希望というか可能性は入ってる

アルツハイマーのおばあちゃんと、使用人ロサナの娘のリベルタードがピアノに向かうシーンは素敵
また、ロサナが「データ通信できる」スマホをリベルタードにプレゼントするのも良い!あれ絶対安くない出費。スマホはあの豪邸で居場所のない娘のためにもなるし、ネットが使えるのは親たちが若い頃にはなかった環境。2人の少女たちの間の断絶を、もしかしたらどうにか繋ぎ止めれるかも
おばあちゃんが開けた扉
夏休みの終わり
タイトルのリベルタード
…たまらなくなりました
み