歌ったり踊ったりもなく、上映時間も、74分という、メジャーなインド映画とは全く違うインド映画です。
今年のフィルメックスコンペティションの中では、頭一つ抜けた感動がありました。
シャープな上映時間の中の様々な描写に国柄や人物の葛藤が表現されています。
暴力的な父親の後に着いていく息子、荒野でほぼこの描写だけなのに、惹かれるものがありますし、過酷な環境の中に社会問題が提起されていきます。
バスの中でタバコを吸って、喧嘩になったのに、それを聞いて泣いている赤ちゃんと母親の方がバスを降ろされる、何という環境!
他にもネズミを炙り出して焼いたり、少女が葉っぱを集めて空に飛ばすスローモーションの素晴らしさ。
数時間の出来事でしかないわけですが、様々なドラマを想像させ、インドという国の社会問題や慣習を描き出していきます。
荒野の中の親子にハラハラさせるサスペンスも見事。
インド映画はメジャー作品以外にも注目していきたいですね。
