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永安鎮の物語集のギルドのレビュー・感想・評価

永安鎮の物語集(2021年製作の映画)
4.2
【自由を目指した先が思い通りに行くとは限らない】【東京フィルメックス】
映画の製作チームが撮影準備のために湖南省にやって来たことから派生する物語を3部形式で描く。

予告編で抱いた感情よりも上回るほど面白かったです!
舞台の映し方から表現がフーボーのような印象を受けて、「象は静かに座っている」の質感を覚えました。
とはいえ、本作が二番煎じかというと全くそうではなくて、「自由になりたい・変わりたい」という人間関係の中で誰もが思う感情を”映画撮影”という波紋で様々な切り口で描いたのが面白くて楽しめました。
実際に脚本めぐり監督と脚本家(本人出演)で泥沼状態だったのを元に撮られてるらしく、我の強い監督・都合よく利用される脚本家・人間関係に陰りを見せる人たち・孤独感ある有名人とそれを食い物にしようとする、など人間社会でも大いにある感じはよく描けていると思う。

1話目の姑・子育てに苦労してる店員さんが「あれ私って変われるんじゃね?」とニンマリするシーンは凄く共感できるし、個人的に3話目の監督・脚本家のエピソードは映画のメタ的な要素が凄くシュールで面白かった!

これは本作に限った話ではないけど、映画祭にかかる映画は国外の世界観を反映していて東京フィルメックスはアジアの映画を中心に世界観を体感する所に魅力があります。
本作は中国・湖南省のやや退廃したディストピア感で繰り広げられる所が絵面として楽しめたので、これから見る人は是非参考にしてみてください!
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