◆あらすじ◆
紀元前894年、北欧のラプン王国の王子アムレートは叔父のフィヨルニルの反乱により父を殺されて母も連れ去られてしまう。海へ逃げたアムレートは数年後、父の復讐と母の奪還のため、屈強な姿となってフィヨルニルを追い始める。
◆感想◆
北欧の寒々しくも美しい景色を舞台に叔父への復讐を果たそうとする王子の血生臭く猛々しい姿を描いており、戦士たちの血の匂う壮絶な殺し合いが魅力の作品となっています。
ストーリーとしては分かりやすく、アムレートの復讐劇として経過を丁寧に描くとともに、男たちの闊歩する世界の中で王妃のグートルン(ニコール・キッドマン)やオルガ(アニャ・テイラー=ジョイ)といった女性たちの姿がストーリーにアクセントをつけていました。
主人公のアムレート王子は純真無垢で疑うことを知らない人物でしたが、叔父のフィヨルニル(クレス・バング)に父を殺されてから復讐のために生きるようになります。復讐のためだけに生きる姿も極端で、他に人生を豊かにする術を知らないのも子供のころから変わらないのかもしれないと思いました。
アムレートはフィヨルニルに復讐するため、奴隷に身をやつすのですが、そのときにオルガという美しい女性と出会います。彼女の存在は復讐一辺倒だったアムレートに新しい目的を与えており、その妖しさと美しさが魅力的な人物でした。
本作はアムレートの視点で描かれていくので、他の登場人物たちの素性はアムレートが知るまで、観ている側には分からないようになっており、この点がストーリーの肝になっているように思いました。それ故に真相を知ってからのアムレートの精神的な動揺がしっかり心に伝わってきました。
戦闘シーンはとにかく泥臭さと血の匂いを想像させる力強い剣劇が中心になっており、渾身の力を込めた一撃の応酬が画面全体を揺るがすものになっていて観ていて力が入りました。
本作は血肉を断つ描写が凄絶になっており、残酷とまで行かないですが、苦手な方には辛いかもしれません。
なかなか楽しかったです。北欧神話に影響を受けているようで詳しい方にはより楽しめると思います。
鑑賞日:2024年2月6日
鑑賞方法:Amazon Prime Video