最初はおっさん同士の痴話喧嘩コメディとして笑いながら観てたら、映画が進むに連れてコリン・ファレルの眉毛並みの角度の急転直下で物語が不穏な方向に動き出す。
「どっちの言い分もわかるけど、なんでそんな極端なん?毎日じゃなくても週1くらい飲みにいくってことで手打ちにしたらええがな」と思ってしまうのだが、油断したら鳴り響く対岸の砲撃音に呼応するかのようにエスカレートするこどものけんか。
きっかけは些細なことが、普通にあるはずの落とし所を見失うことで取り返しのつかない争いに発展していく。過激さを伴って「二極化」する現代の社会情勢に対する痛烈なメタファー。おっさん2人すら仲直りできないのに、国同士が仲良くできるんかいと。鑑賞後のモヤモヤが「映画観た!」って感じで気持ちいい。