みむさん

小さなからだのみむさんのレビュー・感想・評価

小さなからだ(2021年製作の映画)
3.5
バンクーバー国際映画祭にて。


イタリアの小さな島、信仰深い人たちが暮らすコミュニティで死産の子供を授かる女性の物語。

バプテスマ(洗礼)を受けていない子供(リンボ)が生き返る話を知り希望を持つが……

リンボって洗礼を受けてない子供という意味のほかに天国と地獄の間、キリスト教に接する機会がなかった者の霊が死後に行き着く場所、という意味もある。

棺を持って旅に出る。道中で謎の少年と出会いよからぬことが起こりそうな危険な臭いがプンプンしたが、2人はいつしか旅の友に。

社会的生活圏からかなり遠く隔離されたようなコミュニティ、信仰深い人が暮らすその町では神父の影響が絶大。
大人の事情や宗教のあれこれを理解するにはまだ若すぎる主人公アガタと少年、希望を叶えるために過酷な旅に出る。

たぶん従順に暮らしていればコミュニティ内では不自由なく暮らしていけただろう。
だけど、死産をきっかけにそのコミュニティに小さな反抗というか自分の意思で我が子を取り戻そうと動き出すアガタの強さと母性を感じる。

イタリアの小島の神秘的な自然とアガタの切なる願いと行く末を見守る映画だった。