ヤギ

アンデス、ふたりぼっちのヤギのレビュー・感想・評価

アンデス、ふたりぼっち(2017年製作の映画)
4.5
険しくも美しい“生”の映画。
我々からすれば「絶景」にあたるアンデス高地の風景をバックに、老夫婦と動物たちが日常を営む。初見、それは牧歌的に見えるが、徐々に苦難の色を強めていく様を、リアリズムに徹した固定カメラが捉えていく。
冒頭、環境音と妻を呼ぶ夫の声から、一気に作品世界に引き込まれた。
どこか無邪気さを纏いながら互いを支え合う老夫婦の姿は理想的だったが、都市部では難しい対人関係なのかもしれないとも思う。
動物たちはコントロールされている気配がまったくなく、ただそこに“いるがまま”を撮られている感じがとてもよかった。
先住民文化の保全と継承、都市部への人口流入の批判などといったテーマも見出せるが、そこに収まらない世界の残酷さと豊穣さを示す一本。
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