身を削ってくる様な風の音にどんよりとした空の色。緑はあれど荒涼とした土地に住む老夫婦。
痰が絡んだ様な咳。荒い息遣い。思う様に動かない体。
映画は最初から最後まで死の気配が濃厚に漂っている。
度重なる不運に見舞われて泣き言を言ったとしても、決して何かを責めたりしないパクシとウィルカ。
そのお互いを思いやる優しさが辛い。
過酷な生活しか知らない人間の、ある種の諦めが優しさのベースになっていると感じるから。
生まれてきたからには自然が許してくれる限り一生懸命生きて、精霊からもう十分だろうと言われたら土に還るという生き方。
とてつも無く恐い。