ハレルヤ

ラーゲリより愛を込めてのハレルヤのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.2
第二次世界大戦終結後の1945年。ハルビンでソ連軍の捕虜になった山本幡男は、極寒の収容所で捕虜生活を送る。その地で癌を患うも家族へ向けて遺書を書き、その思いを届けようとするヒューマンドラマ。

昨年公開でかなりの高評価を得ていた本作。結末もあらかじめ分かる作品ですが、やはり胸に迫る感動が押し寄せてきました。

戦争が終わってもあまり知られていなかった捕虜となった人々の扱い。日本では考えられない厳しい寒さの中、強制労働を強いられて次々と命を落とす仲間たち。そんな環境に絶望して脱走を試みて殺される人もいる。これが戦後10年近くに渡って起きていたと改めて思い知らされました。

それでも生きる希望を捨てるなと仲間たちを鼓舞する主人公の山本。彼の言葉と姿勢によって救われた者もいる。しかし山本自身も病に蝕まれて余命宣告。彼と深い絆を結んだ者たちが彼の想いを日本にいる家族へ届けようとする。

二宮和也の力の入った演技や病で弱っていく姿は、まさにプロの俳優らしさが感じられるものでしたし、長い間健気に夫の帰りを待つ妻を演じた北川景子も大きな印象がありました。他にも松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕など実力派が揃い、熱のある演技を見せてくれます。

実話が基になっているものの全体的に少しドラマチックにし過ぎな気もしましたが、あの犬のクロのエピソードは本当にあったと知って驚きました。

たとえ終戦しても当事者や遺族にとっては、この悲劇を忘れてはいけないもの。世界で戦争が絶えず起こっている今でも通じるテーマがある作品だと思います。
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