彦次郎

フルーツバスケット -prelude-の彦次郎のレビュー・感想・評価

3.9
異性に抱きつかれると獣に変身する体質の一族と女子高生を中心とした恋愛ドラマの映画版。
といってもテレビシリーズで話は完結しているので前半は総集編、後半が透の母親である今日子さん(作中でも重要人物)と父親である勝也の話。終盤が透と夾の後日譚という構成です。正直テレビシリーズを観ていたので前半部分はかったるい(内容がダメとかではない)です。それ補って余りあるのが今日子さんと勝也の感動的な前日譚。
透が常に敬語なのは父親の影響というのは本編でもやっていましたが、この勝也という人物、確かに口調は敬語ベースですが性格がシニカルで直ぐに敬語でなくなります。更に教育実習生の身に関わらず今日子さんを連れ出したり、今日子さんの両親に玄関先で乱暴極まる求婚宣言して去って行ったりと外見にそぐわない大胆不敵な人物です。よくよく考えてみると透にもそのような面は確かにあり親子であることが頷ける秀逸なキャラクター設定でした。特に声優の細谷佳正氏の演技が素晴らしかったと思います。
今日子さんのほうも今までは透の母親としてしか登場してませんでしたが眉なしヤンキー時代で苦労(自業自得な面があるにせよ)してやっと幸せになったと思ったら再度不幸の底に行くというハードモードが本作で確かめられました。その救いが透であり本作を観てからテレビシリーズを再度鑑賞することで更に味わい深くなる仕様だったといえるでしょう。
短いながらも透と夾が最後を締めてくれたことで大団円となり2001年版から視聴していた身としても満足ができました。
彦次郎

彦次郎