エリーンさんの映画レビュー・感想・評価

エリーン

エリーン

映画(317)
ドラマ(1)
アニメ(0)

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

アンソニーホプキンスの演技は至高の芸術の域。本編に12分しか登場していないとは思えない。今のハリウッドがお遊戯会に見える。近年同じレベルに到達したのはダニエルデイルイスくらい。

クラリスに対する職場
>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

アリアスターお得意のいつもの禍々しいヒーリング大円団を待ち構えていたら痛い目に遭う。
これは過去一ヘビーな恐怖症満載映像と、母とのヤバすぎる確執(多分アリアスター自身の問題を投影している?)を抉りまく
>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

トポロジーでは、宇宙の形はドーナツ型かもしれないというシミュレーション結果がある。

「ベーグルに全て載せてみた」はメタファーで、そのまま宇宙に全て載せて比べてみた、という解釈になる。
宇宙という無限
>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

5.0

コンポジションの美しさは極まり、何度も黒澤かキューブリックを見ている錯覚に陥っていた。
「ヘレディタリー」を経て映画美術の狂気的なまでな完璧な作り込みと美しさが極まり、同じく美術に並々ならぬ凄みとバラ
>>続きを読む

ハイ・ライフ(2018年製作の映画)

3.8

宇宙船セットの暖色感、ボロボロ、チープな機器のバランス感覚など、「her」にもあったレトロSFへのオマージュと、本物の国際宇宙ステーションの中の暮らしぶりを少し混ぜたような、独特のセンスが良い。宇宙服>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.6

アントン・シガーの不気味な存在感と美しい映像が全てを凌駕する。
80年代からアメリカではシリアルキラーが台頭し、どんどんはっきりとした目的もないひたすら暴力性を極めた事件が勃発してゆく。スクールシュー
>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.6

アプトンシンクレアのジャーナリズム社会派小説「Oil!」を下敷きにしたP.T.Aの凄すぎる一作!
不穏なサードレベレーション教会のイーライというのは、ある意味でダニエルに1番近い存在だと思う。教会を大
>>続きを読む

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

4.4

いやあの人出てるしなーと思ったけど”当時はまだ善人役やってた説”を自分で作り出してまんまと策略にハマって騙された。
最後の「ブワッ」という消失の台詞までがうますぎて痺れたー!

ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)

4.0

ジョージがスタジオに連れてる瞑想グループの異様な友人たちや、ジョンにべったり貼りついてむしろこわいヨーコを見るだけで、ああもう潮時だったんだろうな、というのはよくわかった。
ただ世間で言われていたよう
>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

3.6

これに真剣に取り組めるアダムドライバーのアートセンスの高まりに脱帽。映画選びが上手い。
笑いの持つ暴力を抉り出す。
アダムドライバーが神々しいくらい美しい瞬間がいくつもあった。
アネットが人形なのが、
>>続きを読む

マネーボール(2011年製作の映画)

3.9

セイバーメトリクス誕生の経緯が実に興味深く描かれる異色の野球映画。
クリスプラットはじめ野球経験者をキャストに採用していたため、臨場感もあり、没入して楽しめた。
手の届かないスター選手として、テレビに
>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.9

大人のホームアローン。

オデンカークはブレイキングバッドのソウルも素晴らしかったけど、まさかこんなにハリウッドで売れるとは思わなかった。髭や髪型や声や佇まいが良いんだよな。
ドクを今も昔と同じ出立ち
>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

4.7

とにかく撮影手法が斬新でスタイリッシュで、今見ても引き込まれる。
ライトや影の使い方も絶品。
オペラ座での上に引き続けるカメラワークや、後ろに引いて客席のライトだけが映る様子も美しい。
城のミニチュア
>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.0

料理は人生の至福だと改めて教えてくれる、寂しい寒村に染み入る幸せの映画。
悪魔の料理と思われかねないのわかる、みんなでよしっ、と食べるのが良い。

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.9

どうかなーと思ったけど、最後子供になったお母さんに会うシーンで大号泣した。私も子供だったし、今はお母さんだから。

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

4.0

普通にフィルムノワールとして見てて気持ち良い。謎解き部分はちょっと完璧とはいかなかったけど、映像作品として私の好みだった。
ブラッドリークーパーのほんとに凄いポイントは、声質が変えられることなんだよね
>>続きを読む

若草物語(1994年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ良かった。若草物語に自分を重ねすぎて、どれ見てもよく思えるだけかもだけど、ウィノナライダーの瑞々しい美しさと、6月の緑のような家の情景がとてもマッチしていた。
ローリーにとってジョーはやっ
>>続きを読む

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

5.0

リアルタイム進行かつ、こんなに台詞に嘘が無い恋愛映画は他に無いと思う。リンクレイターは本当に唯一無二。
もうロミオとジュリエットとか、全部が嘘くさくなるほど。
車の中での本音の吐露から喧嘩、最後のセリ
>>続きを読む

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

5.0

夫と「ビフォアサンライズ」みたいに出会い10年、子供もいて私自身が今まさに"メイヤーオブクレイジータウン"なので、最後めちゃくちゃ泣いた。台詞一字一句に共感しかなかった。ただ前2作を見たまだロマンティ>>続きを読む

ホーンテッド・サイト(2016年製作の映画)

2.0

あの家は古城や幽霊屋敷好きにはたまらない。私は大好きだった。故に最後ちょろっとじゃなくて「ホーンティング」みたいにもう最初っから見せてよ!となった。
幽霊の雰囲気は昔の日本のホラーゲームぽくて良い。
>>続きを読む

28日後...(2002年製作の映画)

4.2

このようにサラッとホラーやスリラー映画の中で軍隊の在り方すら根幹から無し崩してしまう表現はヨーロッパにしかつくれないと思う。アメリカの国としての大義は軍隊と兵士によって成り立っているので、彼らの無数の>>続きを読む

愛と哀しみの果て(1985年製作の映画)

3.5

メリル・ストリープが出るだけで映画が重厚になる。
彼女の見に降りかかる様々な災難が厳しすぎて辛い。特に収穫したコーヒーが燃えて私も視聴中に燃え尽きた。
ケニアの美しさに、彼女が植民地の人々より土地と土
>>続きを読む

ザ・ビーチ(2000年製作の映画)

4.5

原作本があるとすぐに分かるような緻密でリアリスティックな設定がダニーボイルと完璧にマッチしている。
タイタニック後のディカプリオは、きっと「Train spotting」のユアンマクレガーになりたくて
>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.5

アツすぎる男の映画。
最後エンツォフェラーリが知っていればそれでもう充分だよね、という気持ちになった。
ここでは敵にされているが、会社員としては費用を負担しているのが誰かという話になるので、あのように
>>続きを読む

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

5.0

こんなに台詞に嘘の無い、本当の1日、それも人生の中で一生忘れられない1日をフィルムに閉じ込めた映画は他にない。
何もかもが美しかった。
昔ウィーンで一生に一回きりの1日デートをしたことがあった。たわい
>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.3

黒澤明の「羅生門」のオマージュ。ただ羅生門ほど事実の書き換えはなく、どちらかといえばジェンダーによる中世の価値観の捉え方がここまで違うということが浮き彫りになる内容だった。故に夫と妻側での見え方の違い>>続きを読む

ダウンサイズ(2017年製作の映画)

3.2

発想が斬新!
ダウンサイジングの過程が、発見から発表、実用化、商業化、ダウンサイジング施術実演、ダウンサイジングしてからの社会問題など非常に緻密に表現していた為、新しい発想と映像見たさであれば割と楽し
>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ガイピアーズの声がよくあるゲームの主人公の声に似ていて、声に合わせて謎を解く為の探索プレイをしていくような感覚が呼び覚まされた。
ノーラン最初の商業映画ということで、本人は手持ちカメラで作った1作目か
>>続きを読む

マイ・インターン(2015年製作の映画)

3.6

癒し映画。
鋭くないやんわりデニーロも素敵。
「お墓に場所が空いてる」という台詞で涙が出た。

激突!(1971年製作の映画)

4.8

映画の構成(実際はTV映画として制作された)として、終始完璧としか言いようがない。これが無名のスピルバーグ処女作ということで、当時の業界に与えた衝撃は計り知れないと思う。
台詞も少なく、荒野、錆びた可
>>続きを読む

ガタカ(1997年製作の映画)

4.6

遺伝子レベルの差別となると、人種差別をとっくに超越している描写が沢山出てきてそこに未来の手触りを感じた。
脚本が秀逸すぎる。産前に遺伝子検査を受けることがいとも簡単になってきた現在を考えると、1998
>>続きを読む

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)

4.5

「もしも体感バラエティif」でやっていた霊能者が選ぶ霊の見え方に近いホラー映画ランキングの1位に選ばれていて有名な黒沢作品。
テレビ向けに制作されたホラー初期の作品のひとつだが完成度が高い。むしろこの
>>続きを読む

岸辺の旅(2015年製作の映画)

4.9

生と死の狭間に彷徨い続ける人たち、死んでしまった人たちの実存の仕方と社会との接点(霊としての発現)を描き続けている黒沢清らしいテーマだった。
そして今回は今までよりさらに弔いや残されたものたちの癒しに
>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

4.5

かなり良かった!
ミュージカルの「RENT」は何回も見に行ったくらい好きでジョナサンラーソンの悲劇ももちろん伝説として知っていたので、彼が書いたミュージカルTick tick...boom!がこんな内
>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

3.6

洋ちゃんと柳楽くんの演技がとにかくうまくて見入ってしまった。師匠が工場で働き始めたシーンで胸が苦しくなったし、師匠という人をたけしが慈しむ理由がよく現れていた。素敵な人だったんだということがしっかり伝>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.6

ここまでブラックでしかも賛否が特にアメリカでは政治的に二極化してしまい兼ねない内容に製作費を出してくれるのはNETFLXだけだろうと思うし、作ってくれてありがとう!という気持ちでいっぱいになった。
>>続きを読む